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第八十三話『お金がない!』

「わたしと変わらないじゃん!!」

と、サラが笑った。


それは、僕が「バンドマニア」の筐体に夢中になっていたからだ。そのゲームはこのVRMMO「ラスト・オンライン」を作った、「アーカイブ社」が昔作ったゲームセンター用の音楽ゲーム、いわゆる音ゲー「バンドマニア」だ。


「いったい、いくら100円玉がこいつに吸い込まれたか!」へへっ!と鼻をこすりながら言う僕。そう、毎日のように通っていたゲームセンターでやり続けたのだった。ネットワークに繋がっているので、新曲も定期的にアップされ無限に遊べてしまう。


「何言ってるの、ジュン」と、熱くなりすぎる僕を見て、サラが笑う。いつもの大人しいジュンはどこ行っちゃったのよ、と言う声もかすかに聞こえた。


「音ゲーの筐体を家に置く、それは男の子の夢、いや、人類の夢!!バーチャル空間の家ならそれが可能に!!その体験プライスレス!!『ラスト・オンライン』ばんざい!!」僕の演説が続く、まだ足りないぐらいだが、サラたちの視線を感じて自重した。

「盛り上がってるなぁ」とサラが笑う。

「ほんとに好きだったんでしょうね」奈緒子も笑う。


「でも、その筐体結構、高いんじゃなかったでしたっけ?」と奈緒子が思い出して言う。個人で買えるような値段じゃなかったような。と、頬に手を持ってきて、考える奈緒子。


「そうなの??」と、サラが「バンドマニア」の値札を覗き込む。そして驚く。


「うわー、なんか、ゼロがいっぱい、並んでるんですけど!!」とサラが言う。そう言いながら、その数字を指で追う。


「いち、じゅー、ひゃく、せん、まん、じゅうまん、ひゃくまん・・・ひゃくじゅうさんまん・・・??」指を一桁ずつ動かしながら読み上げるサラ。なんとお値段113万ゴールドだった。


「113万ゴールド!!さすがにしますね、さすがにジュンさん買わないですよ・・・」ね?と言いかけたところで、奈緒子がこちらを向く。そして、あ・・・、察し、という顔をする。


「113万か、ふむ、あのモンスターと、このモンスターを100回倒せば、あるいは・・・」

「うわ、計算しはじめてる」とサラが笑った。

「これは重症ですね」と、奈緒子まで言う。


「100回は大変すぎるでしょ」と笑うサラ。


「さ、とりあえず次行くわよ、次」と、お姫様ベッドコーナーに来る僕ら、僕は、「バンドマニア」のことで夢中だったので、サラに首根っこを捕まえられながら、やってきた。


「うわ、可愛いのがいっぱいある!!」とはしゃぐサラ、お姫様ベッドは2万ゴールド位から、確かにあったが、サラが足を止めたのはそれらより数ケタ上の可愛らしいピンクのお姫様ベッドだった。


「めちゃくちゃ、かわいい~、欲しい!」とサラが言った。

値札には1,120,000Gと書いてあった、僕はカンマのところのケタ数を覚えていたので、その数字が、一瞬で読めた。


「あ、112万ゴールドだ!」

そう、僕らにはお金が必要だ。

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