第七十一話『格闘少女、家を買う。』
「よし」とサラが手をポン、とたたく。
「お家を買いに行こう！！」
あれだけの戦いをした後も、元気なサラは、手を振ってみんなに合図した。「格闘少女、家を買う」。
「サラに疲れという、概念はないのか」
「すごいですね」
さすがに、僕らには、五回連続でボスクラスの敵と戦った「D級英雄ランク戦」を終えたばかりで、いきなり走り回るパワーは残ってなかった。僕と奈緒子がサラの体力に驚く。
「さすがにつかれちゃったな、どこかで、休もうよ」
「えー、ジュンはだらしないですなー」
僕が、提案すると、サラが僕をからかってきた。サラの体力が果てしないだけなんだけど、と思いながら笑う。ピョンピョン僕の周りを手を広げて走り回る。
「サラちゃんが、元気すぎますよ！！ごはんでも食べに行きましょうよ！」
「ごはん！？」
と魔法使いの少女奈緒子の提案にぴくりと動きを止めるサラ。
一瞬間をおいて
「サンセー！！」
奈緒子の提案に大喜びでピョンピョン跳びはねるサラだった。サラの体力は底なしか！！賛成のところを見ると、おなかは空いてたらしかった。
「そうだね、そこで、家購入の作戦会議しよう！」
「なるほど、それは悪くないね！！」
奈緒子の提案に乗った形の僕の提案に、ビシッと親指を出してポーズを決めるサラ。
「何食べようかなー、トンカツ、カツ丼、串カツ」
「全部カツ料理だ・・・しかも全部揚げ物・・・」すでに、サラの頭はごはん一色になっていた。これだけ動いた後に、なんの躊躇もなく油ものばかりを思い浮かべるサラ。体力の権化だ。
「とはいえ、お家ってどうやって買うのかな、現実でも買ったことないし」
「確かに、誰かに聞けるといいなぁ」
道中、マイホーム購入について、話し合う僕ら、よく考えると買い方がわからないのだった。「土地購入許可書」を手に入れたから買えるはずなんだけど。詳しい購入方法はわからないままだった。
「そうですね、すでに家を買ったことがある親しい誰かに教えてもらえるといいですね」
僕の、誰かに聞けるといいな、というつぶやきに対して、奈緒子が同意する。家を買ったことがありそうな、親しい知人なんていたかな。と思考を巡らせる。
すると、そこに聞き慣れた声が。
「わたし、カツ丼にするで？、瑠璃は何にするんや？」
「ソフトクリーム」
元気な少女が、メニューを選び、さらにちいさな女の子に尋ねる。小さい女の子はごはんとは言えないものを即答する。
「瑠璃ちゃん！！ちゃんと、ごはん食べなきゃだめよ」
「う、うん」
お姉さん役であろう少女が、たしなめる。その言葉に考えを改める様子の少女。
「お、ちょうどいいところに！」
元A級のチーム「ジェムボックス」の瑠璃、珊瑚、水晶を見つけたのだった。
「いた！」
「いたね！！」
「いましたね！」
三人は、「すでに家を買ったことがある親しい」人達を見つけた。
