第六十七話『決着』
「大龍 - ワイバーン」の左翼を奪い、シュタッと着地し「あとは、本体だけね。」
と、サラはつぶやいた。
「奈緒子ちゃん、ごめん、必ず、倒すから」
「大龍 - ワイバーン」の炎により倒れてしまった、奈緒子を一瞥し、唇をかみしめる格闘少女のサラ。ただし、その二人の作戦の成果もあり、僕らはワイバーンから両翼を奪っていた。
「危険な戦い方を・・・」
と僕は、サラをたしなめる。そんな戦い方をしていたら命がいくつあっても足りない。僕はサラのそんな戦い方に危機感を持っていた。
「珊瑚ちゃん達をあんな目に遭わせたんだよ!?普通にやってたら、勝てないって!」
と、サラが言う。どうしても、「大龍 - ワイバーン」を倒したい。その思いには同意なので、なんとも複雑なものがあった。
「でも、心配してくれてありがと!」
と、少し照れくさそうに、言うサラ。心配の理由はわかってくれているらしかった。
「うん、サラまで倒れたら困るよ」
僕は、そう伝える。
「ふふふ、わかってるよ、やられませんよ、サラさんは!!」
エッヘン、と、胸を突き出すジェスチャーをするサラ。いつもの陽気な部分を見せる。でも油断している訳ではない。その瞳はしっかりと「大龍 - ワイバーン」を捉えている。
「さ、これで翼は奪ったから、上空に逃げられることはないよ!」
パンパンと、着地時についた埃を払い、「大龍 - ワイバーン」を一瞥する。いつもの屈伸をし、前のめりになり。
「一気に行こう!!」
そう言って、ワイバーンに向かいまっすぐ走っていく、サラ。ワイバーンがその様子を見ているのがわかる。完全にサラを警戒している。
「グオオオォォォォ」
両翼を失った、ワイバーンは、首を大きく動かし、食いちぎろうと、サラに襲いかかる。サラはそのことを予測していたのか、笑顔が見える。
「よっ!」ジャンプして、避け、更に『二重跳躍 - ダブルジャンプ』で高く飛ぶ。そのまま、かかと落としをたたき込もうとした。
ところが、ワイバーンの顔がクイッと上向き、口を開き大きな炎をサラに放った。
「うぁぁぁぁぁ」
サラは、ワイバーンの炎に焼かれる。HPバーが一気にゼロになる。
「後は頼んだよ。ジュン!」
炎に焼かれながら、サラはつぶやいた。
僕はその攻防の間に、ワイバーンの後ろに、回り込んでいた。
外すことのできない、最後の一撃を決めるために。
必ず当てることができる、この位置まで、やっとたどり着くことができた。サラのおかげで。
「ありがとう、サラ、奈緒子!」
と言いながら、SSSランクの武器「 神の剣 -デュランダル 」振り下ろした。
「ググクグォォォォォ」ワイバーンは咆哮を上げ、僕の方を恨めしそうに見ながら、消滅した。
そう、僕らは、いろいろな犠牲を乗り越えて、
ついに「大龍 - ワイバーン」を倒したのだった。
「おおおおお、やったぞ!!」
僕は柄にもなく叫んでいた。





