第三十九話『真実の女子のお買い物』
コブタのぬいぐるみの、お会計が終わり、満足してさらりと帰ろうとする格闘少女のサラを、ガシっと捕まえる、魔法使いの少女奈緒子。
「いやいや、まだ、お洋服までたどり着いてませんよ!!」
奈緒子が笑顔でたしなめる。真骨頂は、お洋服なんですよ、と言わんばかりの奈緒子。そして、そのまま捕まる形で、洋服ショップまで、連れてこられた。
「ほらほら、かわいい、お洋服がたくさんありますよ!!」
「う、うん」
奈緒子の迫力に頷かざるを得ないサラ。
「ほら、こんなに、かわいい水着がありますよ!」
「えー!!いきなり、露出高くない??」
と、テンションの高い奈緒子に突っ込むサラ。
「そもそも、なんで水着があるの?」
「灼熱のフィールドがあるからだね。冬服を着ていると、じわじわと、ダメージを受けるステージがあるんだ」
と、僕が口を挟んだ。
「あー、なるほど、それはちょっとおもしろそう」
体育会系のサラは、熱いところでスポーツなどをやるからか、熱いところで体を動かすことには、慣れているようでまったく抵抗がないようだった。
「水着、露出高すぎると思うけど。この面積で身を守れるの??」
「特殊な加工がしてあるものは、確かにあるけどね」
と、僕が応える。
「へー、なるほどね!特殊な技術が発達しているのね!」と、言いながら、サラが水着を、ひらひらさせるので、少し恥ずかしくなり、目をそらしてしまった。
その顔を見てサラが奈緒子に言う。
「ほら!!こういうエッチな人もいることだしね!水着はまだ早いわね!!」
「確かに、そうですね」
うんうん、と、同意する奈緒子。いや、そこは、もっとなんとかあるでしょ、奈緒子さん!
「ジュンさんのせいで、サラちゃんが水着きてくれなくなっちゃったじゃないですか!!」
「えー」
奈緒子が、キッ!!とこちらを睨むふりをする。ひどい!!犯人扱いされた。
「ジャージないの??ジャージ!!」と、サラが探しにいってしまった。
「ジャージも結構ありますよ!ただ、基本的には室内用ですね。戦闘時には着れない物が多いです」
と奈緒子は水着を諦めて、ジャージの説明をすることにしたようだ。この辺からこの辺がそうですね、と指差す。たしかにたくさんあるようだ。
「なるほど、結構良いのがあるなー。これも、これもかわいいかも」腕のところに白い横線の入った薄い水色一色のジャージと、紺をベースにした胸周りと半袖にあたる部分だけが白くなってるジャージを取り出した。
「この2つもいいけど、うーん、基本に忠実にやっぱり紺かなぁ」
「全部、試着して見ましょうよ!簡単にできますよ!!」とサラにレクチャーする奈緒子。
「ジュン、どれがいい??」
といいながら、三種類のジャージを順番に身にまとい、僕に訊ねた。
「え!?全部いいと思うけど!」
僕は素直に思ったことを言った。
「役に立たないなぁ」
と、サラが笑った。
「男の人はダメですね」
と奈緒子まで笑った。
君たち、ひどくない??と思いながら、これが女子の買い物か!!と納得する僕であった。





