第三百五十九話 『AIは疲れない』
「さぁ、いきますよ!」
彼女はそう言ってウォーマシンに向かっていった。
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「はいっ!」
ルルが攻撃をする。
氷の属性攻撃の後に炎の属性攻撃。
それにより多くのダメージを与えることに成功している。
「くらいなさい!」
美少女双子の姉ララも別のウォーマシンと戦闘中だ。
もちろん槍使いのタカヒロも別のところで戦闘中。
彼らは三人1体ずつ倒すという戦術をとっていた。
「ウォォォォ」
ウォーマシンが応戦する。
確かに互角に戦っている。
今は。
「これは結構大変かもしれないわね」
ララがつぶやく。
そう、最初は互角だった。
しかし、だんだん旗色が変わってきていた。
「なるほど、疲れて不利になってきちゃったのか」
僕がつぶやく。
最初は互角だったが、相手はAI。
疲れずどんどん攻撃をしてくる。
「なるほどー、AIは疲れずずっと同じ速度で戦えるのね」
サラが言う。
人間は疲れる前と疲れた後では当然動きが違う。
身体を伴わない普通のゲームだってつかれれば判断は鈍る。
「サラちゃんもずっと疲れず動いている印象ですけどね!」
奈緒子がサラに言う。
「そうだねぇ。体力には自信があるけど、さすがに1日中動くと疲れちゃうかな」
サラがにっこり笑っていう。
「一日中動かんと疲れんのかい!僕なんか五分で疲れるよ!」
僕がサラに言う。
「私も疲れちゃいますね!」
奈緒子もうなずく。
「でも二人はゲーム1日中できるでしょ!私は二人がいなかったらゲーム全然できないよ!『ラスト・オンライン』は普通のゲームと違って二人がいるからあそべるけど!」
サラが笑う。
「確かにそういうこともあるか」
僕がうなずく。
「おにいちゃんもずっとパソコン触ってるし、わたしは五分パソコン触ったら寝ちゃうよ!」
サラが笑う。そんな人いるんかいとツッコミそうになったけど、サラならなりかねない。と思った。
「あ、まずいね」
僕がつぶやく。ルルが崩れ始めた。さすがに特殊なスキル『魔法武器 - マジックアームズ』があるとはいえ、基本的には魔法使いだ。肉弾戦でこの強敵ウォーマシンと戦い続けるのは無理がある。
「ルル、少し下がって!」
ララはそう言いながら走りだす。
「『位置交換 - ポジショントレード』」
ララはそう言って、ルルとのポジションを交換した。
ピンチになっていた、ルルを安全な場所に移し、攻撃力の高いララが対峙する形になった。
「いくわよ!」
ララはルルが戦っていたウォーマシンに攻撃を与えた。そちらはうまくいくようにみえた。
「それは危険だ」
僕がつぶやく。
「え、どういうこと?」
サラが僕に聞く。
「流石にワープ技は無敵じゃないんだ」
僕がサラに説明する。
「え、消えるんだし、無敵なんじゃないの?」
サラが聞く。
もちろん無敵の時間も多くある。
「そう、消えてる間はね。だけど後隙。つまり硬直がある」
僕がサラに答える。
「グオォォォォォ」
もう一体のウォーマシンが、その後隙のタイミングを見計らってルルに襲いかかった。





