第三百十四話『台風とタイフーン』
そう、魔法詠唱の時間と、攻撃力は比例関係にある。
かなりの大呪文を用意しているのではないかと僕は思った。
「そうよ、ジュンくん!」
水晶が僕の推理に答えてくれた。
そして、瑠璃の詠唱が終わった。
「タイフーン!!」
瑠璃は呪文を発動した。
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「タイフーンってなんだっけ?台風??」
サラが僕に聞く。
「良い質問だね。かなり似てるけど少し違うんだ。台風は風速17m/sの熱帯低気圧のことで、タイフーンはその中でも33m/sのものを指すんだ」
僕は台風とタイフーンの違いをサラにかんたんに説明した。
「すごい、ジュンさんはなんでも知ってますね!普通数時まで覚えてないですよ!」
奈緒子は両手を胸にもってきて微笑んだ。
「いや、たまたま知ってただけだよ」
僕はそう奈緒子に答える。
「たまたま、そんな数字知ってる?」
サラが笑って聞く。
「うん、たまたま知ってたんだ」
僕は笑う。
「でも、わかった!タイフーンは凄い台風ってことね!!」
サラがそう言った。
ざっくりしているがそれで正解だ。
「グオォォォ」
『キングウォーゴーレム』2体が、そのタイフーンに巻き込まれてうめき声をあげる。かなりダメージを与えているようだった。
「さすが、詠唱の長い大型呪文!!瑠璃はこの魔法を使うために普段弱い魔法の組み合わせで、属性をうまく使って必要な分だけ魔法をつかっていたんだな」
僕はそう言った。
そう、彼女は元A級なので、結構強い呪文を覚えているはずだが、わりと初心者用の魔法を好んで使っていた。そして無駄打ちはほとんどしていなかった。
「すごい、タイフーン!!」
サラが叫ぶ。
台風の風によって、吹き飛ばされないようにしながら、サラは言った。
「これは・・・倒した??」
サラが僕に聞く。
「いや・・・さすがに魔法攻撃だけで、『キングウォーゴーレム』は厳しそうだ・・・」
僕は彼女たちを見てそう言った。
「グオォォォォ」
『キングウォーゴーレム』が吠える。
そう、モンスターたちは、大型呪文「タイフーン」を耐えてしまった。
そして、彼女達の元に走り出す。
「『ディフェンスアップ』!!」
水晶が瑠璃に防御力アップの魔法を唱える。
「でも・・・それじゃたりない・・・」
僕は呟いた。
「うああぁぁぁぁ」
美少女魔法使いの瑠璃は、『キングウォーゴーレム』2体の攻撃により戦闘不能になってしまった。
「瑠璃ちゃん!」
水晶はそう言って走り出そうとした・・・がその瞬間。
「スローダウン!!」
『ハイエリートウィザード』がスピードが遅くなる呪文を水晶に唱えた。
「なっ!」
水晶は動きが遅くなってしまった。
「グオォォォォ」
『キングウォーゴーレム』2体が瑠璃の元から水晶のところに走ってきた。
「うあぁぁ」
そして、水晶は2体のモンスターの攻撃を受けて戦闘不能になった。
「そんな・・・あの珊瑚ちゃんたちが負けちゃった・・・」
サラは呟いた。
「かなり強いね・・・」
僕も頷いた。
「許せない!!」
サラはモンスター達にそう言って構えた。





