第三百十話『動けない状態を作り出す』
「よっしゃ!倒したで!」
珊瑚がへへーんと胸を張りながら僕達に言った。
「倒した」
瑠璃が頷く。
「やったわね!」
水晶も微笑む。
「さ!先行っとるで!」
珊瑚はそう言って笑った。
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「ぎゃー!!珊瑚ちゃんたちが行っちゃたぁ!!」
サラが叫ぶ。
「うん、でもそれよりもこっちに集中しないと、負けちゃうよ!」
僕がサラに言う。
「そうですよ!サラちゃん!しっかりと、目の前の敵を倒しましょう!」
奈緒子もそう言った。
彼女は冷静だった。
彼女はゲームをやり慣れているから、焦って負けが増えるという経験もたくさんあるのだろう。
「そっか!そうだよね!」
サラも冷静さを取り戻した。
そう、彼女も全国大会優勝の経験があるようなスポーツエリートだ、気持ちの切り替えは得意だろう。
「『ハイパワーウォーゴーレム』一体は奈緒子とサラの連携で倒したし、『ハイエリートウィザード』は僕が倒したから、残り一体だよ!全然追いつける!」
僕がサラに言う。
「うん、残りは『ハイパワーウォーゴーレム』ね!」
サラが言う。
「今回は、『ハイエリートウィザード』がいないし、スピードエリアもディフェンスアップも使ってこないから、冷静になればちゃんと倒せるはずだよ」
僕がサラに説明する。
「そっか、じゃぁちょっと試してみたいことがあるんだけど!」
サラが僕らに提案した。
「え、なに?」
僕がサラに聞く。
「三人の連携技を作ろう!」
サラが提案した。
「あ、いいですね!」
奈緒子は手を胸に持ってきて、楽しそうに振った。
「というと?」
僕はサラに聞いた。
「いままでのは、私と奈緒子ちゃんの連携だったじゃない!いざという時のために三人で攻撃できたほうがいいよね!」
サラが言う。
「でも、僕はあんまり体術得意じゃないから、二人みたいな高度な連携はむずかしいかも・・・」
僕は説明する。
「うん、でも、今までも2体は連続で倒してるじゃん!魔法をかけている間の、『ハイエリートウィザード』は倒してる!」
サラが言う。
「うん、止まっている敵ならなんとかね」
僕は言ってはっとした。
「そう、止まっている状態を私と奈緒子ちゃんで作ればいいんだよ!」
サラはそう言って走り出した。
「なるほど!」
「理解しました!!」
僕と奈緒子が言う。
「じゃ、奈緒子ちゃんよろしく!!」
サラは『ハイパワーウォーゴーレム』の元に走っていく。
「よっ!!」
そういいながら、サラは、『ハイパワーウォーゴーレム』のはるか頭上に飛んだ。
「ウォーター!」
奈緒子は、サラがジャンプして空いた場所に魔法を放った、そして、それはモンスターに直撃した。
「とおおぉぉおりやぁぁぁあ」
サラはそういいながら、頭上からモンスターの頭部に向かってチョップを加えた。
「グオオォォ」
『ハイパワーウォーゴーレム』はうめき声を出しながら、しびれて動けなくなった。
「『疾風』」
僕は、その瞬間を狙って、SSSランクの武器『神の剣 - デュランダル』のSスキルの遠隔斬撃『疾風』を放った。
ズバァァァァン
僕の攻撃を受けて、『ハイパワーウォーゴーレム』は消滅した。
「そうか、しびれて動けない敵なら僕でも狙えるんだ!」
僕は強敵を倒してそう呟いた。





