第二百八十四話『ハイエリートウィザード』
「うあぁ!」
とアキラが叫ぶ。
「アキラ!」
とサクラが叫ぶよりはやく、『ハイパワーリザードマン』がサクラに近づき、攻撃し、サクラを吹き飛ばした。
「グエエエェェェ」
と『ハイエリートウィザード』が叫んだ。
そう、反撃開始だと。そういう意味を込めて。
「え?なんで、防御力をあげるだけであんなにピンチになっちゃうの?」
と、サラがシンプルな疑問を僕に投げかけた。
「良い質問だね。それは彼女たちの超速攻が、必ず一回で倒しきることを前提としているからだ」
と、僕が説明する。
そう、彼女達はかならず一体を一回の攻撃で倒していた。
「なるほど!攻撃したあと、攻撃されるつもりがないってことなのね!」
とサラが理解した。
「そう、だから、かなり踏み込んで連続攻撃ができていたというのもあるんだ」
と僕が説明する。
「それを防御力をあげるだけで、防いだの?『ハイエリートウィザード』さんめちゃくちゃあたまいいんだ!!」
とサラが驚く。
そう、たったそれだけで、無敵に思えた超速攻を防いでしまったのだ。それだけで、三人から攻撃を受けても行動不能に至らなくしたのだ。
「うん、眼鏡してないけどね!ハイエリートの名前は伊達じゃないみたいだ」
と僕は呟く。
「こころのなかで眼鏡をグッと上げてキラーンってしてるかも!」
とサラが笑う。
エリートの眼鏡にこだわりがあるサラがそんな話をしている間に、さらにモンスター達は動き出した。
「グエェェェ!」
と『ハイパワーリザードマン』が動き出す。
『ハイスピードリザードマン』に吹き飛ばされた剣士のサクラはまだ倒れている。
「ちょっと、どこいくつもりよ!」
とサクラが言う。
「吹き飛ばした、サクラを置いておいて、一気にアキラを狙うつもりだ!」
と僕が言った。
そう、彼女たちがいつもやっているように、モンスター達も、一人を三体で攻撃するつもりだ。
そう、どこまでも賢いモンスター達だ。
『ハイパワーリザードマン』と『ハイスピードリザードマン』は格闘家のサクラを狙う。
「しかも、その位置関係はまずい!」
と僕が呟く。
「え?位置?」
とサラが僕に聞く。
「そう、いつの間にか『ハイエリートウィザード』が移動しているんだ・・・アキラとレイラが一直線に並ぶ位置に!」
と僕が言った。
その瞬間
『フレイムライン』
と『ハイエリートウィザード』が横一列に炎が発生する魔法。『フレイムライン』を発動した!!
「「うあぁぁぁぁ!」」
とアキラとレイラが炎に焼かれる。
「グエエェェェ!」
と更に『パワーリザードマン』がアキラにより攻撃を与えた。
「うあぁぁぁぁぁ」
とアキラは叫んだ。
そして、アキラのHPはグググーッと減っていきついに0になった。
「ごめん・・・」
と言いながらアキラは戦闘不能になった。
そう、格闘家のアキラは倒されてしまった。
「こっのぉ!!」
と剣士のサクラは叫びながらが走りだした。





