第二百六十八話『身体能力』
「グエェェェェ！」
と『アーマードリザードマン』が『獣水鉄砲- ウォーターショット』を発動する。
そして、口から、水を出した。
それを弓矢使いのレイラはサッと避けた。
遠隔攻撃担当なのに軽やかな動きで！
「そう、私たちは三人とも走れるチームだからね！」
と、剣士のサクラが自信満々で微笑んだ。
彼女は自分だけではなく、仲間の能力にもプライドを持っているようだった。
それは、なかなか羨ましい素直さだ。
「なるほど、すごいね！」
と、僕が言う。
ほんとにそう思う。
なかなかこういう、速攻に専念してうまくいくチームを作るのは難しい。それには彼女たちのような身体能力と連携攻撃の精度が必要になってくる。
「本当に全員で速攻するチームなんだね！おもしろーい！」
と、サラが言ってる。
そう、弓矢使いが敵から見て隙があるのかと思ったが、そんなことはまったくなく、連続攻撃を決めるために、一人を遠隔攻撃担当にしたのだろうな、と思えるような編成だった。
「みなさん身体能力が高いんですね！」
と、奈緒子が言う。
そう、三人の身体能力が高くないとこの戦術は機能しない。
「そうだね、このゲームはそもそもの自分の身体能力を元に戦術を考えていく必要があるから、それをしっかり考えたすごくいいチームだね！」
と、僕が言う。
ここまで勝ち抜いて来ているだけはあって、ちゃんと勝てるチームとして、洗練されている。C級英雄ランク戦の後半戦ともなると、ゲームプレイヤーとして強い。というところまでしっかりきている。
「ふんっ！褒めたってなにもでないんだからね！」
と、サクラはすごく嬉しそうに言った。
「笑みがこぼれてるよ、サクラ！」
と格闘家のアキラが笑う。
「そうだね」
とレイラも笑った。
「そ！そんなことないわよ！！」
と、サクラが否定した。
しかし、その笑みがまったく本心を隠せていなかった。
そして、特に隠す気もないらしいサクラがニコッと笑った。
「このままだと、一気にサクラたちがこのステージクリアしちゃうね・・・」
と、僕が言う。
そう、彼女たちの連携は一撃必殺とも言える。
しかも一体ずつ倒すスタイルは、かなり戦術としても優れている。
それで着実に一体ずつ倒してきている。
「うん、負けちゃう！それはダメ！私達も頑張ろう！」
とサラが言う。
負けず嫌いのサラさんだった。
先に彼女たちが倒しそうになったら、サラも戦闘モードの目になった。
「残り2体どうする？」
と、僕が聞く。
「片方は私と奈緒子ちゃんの速攻で、もう一体はジュンよろしく！」
と、サラが言う。
サラは、なんとなくつかめてきた、奈緒子との超即効をもっと使えるものとして固めていくつもりだろう。
「了解！」
と僕が言う。
作戦は簡単だった。
残り2体のうち一体はサラと奈緒子、もう一体は僕というものだった。
「いくぞ！」
と僕はSSSランクの武器『神の剣 - デュランダル』を構えた。
