第二百五十八話『高速空間』
「賢すぎだろう・・・」
と僕が言う。
そうまるで人間のように戦う『エリートダークウィザード』。山なりに『ファイヤーショット』を放つことができるし、『スローダウン』も『バーストジュエル』もタイミングよく使いこなす。
「これは、ほんとにすごいね・・・そして、『リザードマン』ちゃん・・・こんにちわ!」
と『リザードマン』の元に飛ばされたサラが笑った。
「サラ!大丈夫か!」
と僕が叫ぶ。
「うん、なんとか・・・でもびっくりしたー!」
と言いながら、ピョンっと後ろにジャンプした。
「グオオォォォ」
と『リザードマン』が呻く。
そう、サラが飛んできたところに、『リザードマン』が攻撃したのだが、その攻撃をサラはピョンとよけたのだ。それに対して、きっと怒っているのだろう。
空振り、というのは思っている以上に、かなり本人に負担がかかる。
「よっよっ!」
とサラは二回後ろにジャンプして、距離を取った。
サラは、そのまま戦うのではなく距離を置いたほうがいいと一瞬で判断したのだ。
「さてさて、どうしましょうかねー!」
とサラが言う。
吹き飛ばされてパニックになってもいいところだが、そこに重ねて、攻撃されたことによって逆に理性的になっているサラだ。サラはその場その場の判断が的確なのだ。集中できることがあればかなり強い。
『スピードエリア』
と『ダークウィザード』が『スピードエリア』を『リザードマン』がいるあたりにかけた。これは後ろで『エリートダークウィザード』が指示したのだろう。
これでまた、敵が有利になった。
「ぬおっ!ちょっジュン!かなり速いんですけど!」
と、サラが早くなった『リザードマン』をよけながら言う。
「いやー!ほんと賢いね『エリートダークウィザード』!」
と僕が言う。
「感心してる場合かいな!」
とサラが笑う。
そう言いながらもしっかりと『リザードマン』の攻撃を避けるサラ。
『スピードエリア』
と魔法使いの奈緒子がサラのいる範囲に『スピードエリア』をかけた。
つまりその場は敵味方ともに高速移動できる空間になったのだ。
「奈緒子ちゃんありがとう!!」
とサラが言いながら、ビュンと跳ねる。
「これで楽になった!」
と、言いながら電撃のスキルを発動させた。
『雷迅 - ライトニング』
バチィ、バチィィィィィ
とサラは電撃を足に纏った。
「高速化して更に高速化するつもりか!」
と僕が叫ぶ。
そう、普通はそんなスピードで動いたら自分の脳がついていかない。そんなスピードで動いたことがないからだ。
だけど、サラにそんな心配はいらなかった。
「よっ!よっ!」
と、しっかりと『リザードマン』の攻撃を避けて、しっかりと『鬼神の籠手』で『リザードマン』に攻撃を放った。
ドカァァァァン
その攻撃により、『リザードマン』の体力は0になり光を放って消滅した。
「よし!これで一体目!どんどん行こう!」
とサラが笑った。





