240/368

第二百三十八話『陸上を走る天使』

「それはすごいなんてものじゃありませんわ！一人だけ次元が違うと言っていいでしょう！それは陸上を走る天使！」

とエリカのテンションが上がる。

「いやいや、それは褒めすぎでしょ！確かに、ほとんど負けたことないけど！」

とサラが笑う。

「やっぱり負けたことないのか・・・」

と僕が呟く。

「でも、絵里香ちゃんも日本一だよね！」

とサラがエリカに対してそう言った。

「「え？」」

と僕と奈緒子が驚く。

確かにさっきの遠隔射撃は普通の人に出来るものではないことは思っていた。

まさか日本一レベルとは・・・。

「エリカおねぇさまはすごいんだぞ！えっへん！」

と、小柄な少女アスカが胸を突き出して、自慢気な顔をした。彼女はほんとにエリカの事が好きなようだった。

キラキラと目を輝かせている。

「なんで、アスカが自慢するんだ・・・」

と、普通弓のサヤカが呆れる。

その態度は、しょうがないなぁ、という感じの物で、両方に対する思いやりが感じられた。

「だってぇ！エリカおねぇーさまはほんとに凄いんですもん」

と、ブンブンと手を振りながら、アスカがサヤカに言う。

アスカはエリカの凄さを一人でも多くの人に知ってもらいたいらしい。

その動きは可愛らしかった。

「はい、確かに日本一になりました！でもそれは恭子ちゃんの1位とは全く意味合いが違いますので・・・」

と、エリカが言う。

日本一のレベルが違うというのは聞いたことがない表現だった。大人と子供くらいの差をつけて、勝つのだろうか・・・？

「そんなにすごいのか・・・確かにすごいんだろうけど・・・」

と、僕は呟いた。

日本一の人がいう、自分とは意味合いが違う日本一というのはいったいなんなのだろうか。

昔、子供の頃からプロとして活躍して、強すぎるので高校大会に出してもらえない選手とかいた気がするけど、そのレベルなのだろうか。

「ジュンの方がすごいけどね！ジュンと奈緒子ちゃんがいなかったら、ゲームでここまでこれなかったし！」

と、微笑むジュン。

「そうです！ジュンさんも凄いです！」

と、奈緒子が言う。

「おねぇーさまのほうが凄いもんね！」

とアスカもそこに割り込んでくる。

「なんだこれ！」

と僕が笑う。

謎の凄い合戦が始まっていた。

「そっか、絵里花ちゃんだったかー！じゃぁ、ゲームでもがんばろう！」

と、サラが言う。

サラは相手が誰であろうとも全力を出して楽しむであろう。

「そうですね！負けませんわ！」

と、エリカも微笑む。

「なるほど・・・あの遠隔射撃は日本一の技術だったか・・・そりゃそうだよね、あんなの普通できない」

と僕は、対戦相手のエリカの能力を再認識した。

「さ、ジュン、今1:2で負けてるわよ！！」

と、サラが僕に言う。

そう、筋金入りの負けず嫌いサラだ。

「よし、追いつこう！」

と僕が言う。

「戦闘再開だ！！」

と、僕は剣を構えた。