表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/368

第二十四話『サラのフルコース』

「できたわよー。みんなー!サラさんのフルコースですよー!」

自慢気な笑顔のサラが、食べきれんばかりの多さの、食事を抱えて戻ってきた。


「これは、すごい」

「すごいですね」

テーブルに並ぶ肉料理の数々を目にして、僕と魔法使いの少女奈緒子が、ごくり、とつぶやいた。


「この子が食べたいもの全部作っちゃったわ!」

と、食堂のおばちゃんが、豪快に笑いながら言った。きのこのクエストのお礼とは家大判振る舞いだ。これ普通に頼んだらいくら掛かるんだろう、と思った。


「ふふふ、えーっと、しゃぶしゃぶでしょ、ステーキでしょ、焼き肉、お肉のフルコースね」

えっへん、と、胸を突き出して、腕を腰に当てて、自慢気なサラ。指ではなく手のひらで料理をさして、料理名を口にする。


指でさすわけではなく、手のひらでさすという行為を見て、育ちがいいのかな?と思った。いろいろ不思議な少女である。


「こんなフルコース、聞いたことないよ!!」

と笑う僕。

「いいですね。どちらからいただこうかな〜。」

僕の料理への突っ込みをよそに、すでに、戦闘態勢の奈緒子。女子の食事は戦闘だ。


「じゃんじゃん食べてね、冷めちゃうと、美味しくなくなっちやうから」

と、どんどん、お皿に盛りつけてくれるサラ。

気が利くというかなんというか、とにかく行動が早い。素直に凄いな、と思う。


「あ、それは!私がやります!!」

と、盛り付けを慌てて手伝い出す、奈緒子。料理が出来ないと自分で思っていて、その事を気にしているのか、その分働く奈緒子。


奈緒子が一通り皿に料理を並べ、準備が完了した。


「では、どうぞ」

ふふーん、と唇を緩め笑いながら、言った。


「いただきます!」

「いただきます!」

僕と奈緒子がそれに返事する。


「いただきまっす!!」

遅れてサラも言う。


「あ、美味しい」

奈緒子が焼き肉に手をとって、そうつぶやいた。


「ほんとだ、美味しい」

「え、ほんと!?私も食べよう!!」

僕もちょうど食べていて、同意した。それに遅れたサラが乗り出して焼き肉を取った。


「うまー!!」

満面の笑みのサラ。楽しい食事になりそうだ。


笑顔のサラが、ふと気づいて、あれ?っという顔をした。

「そういえば、これってなんで美味しいの??ゲームだよね??」

と、ゲームであることを思い出したサラが疑問を口にする。

これは没入型MMO「ラスト・オンライン」。バーチャルウォーカーという、バンド型のコントローラを腕と足にはめて、その動きを読み取って遊ぶゲームだ。


「うん、これはゲームの中だから、実際の体はごはんを食べてないよ!」

「そうだよね?!でも、なにこれ美味しいよ」

と、さらにお肉を頬張る。疑問は湧いても手は止まらない。


「そう、それはね、人は目で味を感じるからなんだ!!」

と、僕が口にした。


みんなの頭に大きなはてなマークが浮かんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ