第二百三十六話『電撃キック』
「よしよし、楽しくなってきた!」
とサラが言う。
「次は私達の番ね!」
とサラが屈伸しながら微笑んだ。
「ここで、ずっと見てると、先にいかれちゃうからね」
と僕は笑った。
「そう!見てるのも楽しいけど!!負けるのは良くない!」
とサラが言った。
負けず嫌い全開だった。
強い相手を見るとテンションが上がるサラだ。
「了解。倒そう!」
と、僕が言う。
「作戦は?」
と、僕が聞く。
「私が突っ込んでいくから、良い感じによろしく!」
と、サラは言って走りだした。
僕と奈緒子の方をチラッと見てニコッと笑いながら走りだした。
それで僕と奈緒子は理解した。
「つまり、いつもどおりってことだね」
と、僕は笑った。
『雷迅 - ライトニング』
バチィィィ、バチィィィィィィ
と、格闘家の靴に『雷迅 - ライトニング』を纏った、サラは『ダークウィザードジュニア』に向かって走りだした。
「速い!!なんだあれは!!」
と、普通弓のサヤカが言う。
そう、いきなりこれを見たら大体の人は驚くだろう。
足に発生した電気の力を利用して地面を蹴って、高速でサラが移動している。
「あの走り方・・・もしかして・・・」
と、大型弓のエリカが呟く。
何かを思い出しながら言う、エリカ。
そう、この走り、この動きを見たことがあるかのように・・・。
「ん?知っているのか?」
と、普通弓のサヤカが聞く。
彼女達二人は仲がいいのだろう、長年付き合いがある感じのやり取りだった。
この『ラスト・オンライン』で友達になった感じではないだろう、きっと。
「うん、知ってるかも・・・」
と、エリカが言う。
さらに、じっと、サラの動きを見ている。
そして、何かを思い出そうとしている。
「確かにあれは、マニュアル操作だな・・・あんな動きは『ラスト・オンライン』には用意されていない・・・」
と、サヤカが呟く。
つまり現実世界の本人と同じモーションで動いている可能性が高い。
そして、歩き方というのは、指紋や目の虹彩ぐらい、本人を特定するのに使うことが出来るとされ、画像認識を使って特定する方法が研究されている。
バチィ、バチィィィィィ、と音を出しながら、猛ダッシュで、『ダークウィザードジュニア』に向かっていく、サラ。
「電撃キーック!!」
と言いながら、そのまま蹴りを放ち、一体の、『ダークウィザードジュニア』を一瞬でやっつけたサラだった。
「やったぁ!倒したよ!」
とサラが僕達の方を向いて満面の笑みを見せる。
「よし、ナイス、サラ!」
「さすがです!サラちゃん!」
と、僕と奈緒子が言う。
「すごい、やっぱりそうだわ!」
と、エリカが言う。
「エリカ・・・知ってるのか?」
「うん、あんな動きが出来るのは、この世に一人しかいないわ!」
とサヤカとエリカが言う。
「サラちゃんやっぱり、あなた陸上部の、キョウコちゃんでしょ?全国優勝の!」
とエリカが言った。





