第二百十九話『ソードブレイク』
「よしよし、やりましょう!」
とサラが屈伸をしている。
彼女達の戦いを見て、すっかりやる気を出しているサラだった。
いろいろな人の戦い方が見れるというのは、モチベーション向上のためにもとてもいい。
「さぁ、戦闘開始だ!」
と、『リザードマン』3体を前にして、僕は言った。
ランコ、リンコ、レンコの三人はすでに2体を倒している。
僕達もそれに追いつかないといけない。
『雷迅 - ライトニング』
バチバチィィィとサラが格闘家の靴に、電撃のスキルをまとわせる。
グッと、前傾姿勢を取って、走りだす準備をする。
さらにグッと低い姿勢になった。
「よし!いくわよ!!」
とサラが飛び出す。
三体の『リザードマン』のうち、真ん中の一体に向かって
高速で飛び出すサラ。
サラは、電撃を足元に纏い、電気の反力を使って、大きく地面を蹴り、高速移動を可能にしている。
「グェェェ!」
と『リザードマン』がその、サラの動きを見る。
盾は追いつかない。
剣で斬りかかる様子を見せる『リザードマン』。
「とりゃ!!」
と、サラが蹴りを入れる。
『リザードマン』本体ではなく、サラのスピードになんとか追いつこうとしながら振り上げた、剣を持っている『手元』に向かって!
「グエェェェ!」
と『リザードマン』は、痛みで手を大きく上げる。
そして、武器を落とした。
カアァァァァンと、剣が地面に落とされた音が鳴り響く。
「ソードブレイク!!」
と、僕が言う。
武器破壊技だ。
それが出来ると圧倒的に有利になる。
「なにそれ?」
と、サラが言いながら、更に攻撃を続ける。
『リザードマン』はあまりの出来事に戸惑いつつ、自分が落とした剣の方を見ている。
理性的に考えることができれば、ここは『盾で防ぐ』場面だが、そこまでの冷静さはないようだった。
「とぉりゃ!!」
と、サラは武器を弾き飛ばし、空いていた、剣を持っている方の左側が合いた隙間に、パンチを叩き込む。
『鬼神の籠手』で!!
その最強クラスのパンチを叩きこまれた。
『リザードマン』はグエェェェェと、呻きながら消滅した。
「今のはなんだ・・・?」
と隣で見ていた、傘使いのリンコが呟く。
「めちゃくちゃすごい!」
と格闘家のレンコも言う。
「サラちゃんすごいんだからね!」
とギザギザの変形剣使いのランコも言う。
「サラちゃんすごいです!」
と奈緒子も言う。
「みんながプレゼントしてくれた、『鬼神の籠手』のおかげだよ!やっぱりこれすごいねぇ!」
と、サラがトントンと、『鬼神の籠手』を軽く触りながら言った。
「いや、『鬼神の籠手』があってもそんな動きが出来るわけじゃないからね」
と僕が笑う。
間違いなく彼女の実力だった。
習ってもいない、『ソードブレイク』も普通に使いこなしていた。
「よっし!まずは一体ね!!」
と、サラはバックステップで僕達のもとに戻ってニッコリと笑った。





