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第百八十八話『妖精の粉』

「そう、ややこしくなるから言わなかったけど、妖精もトロールも出自は同じじゃなかったかな?と実は思ってた」

「そうですね!RPGだと、もともと同じものでも読み方が違うだけで、違う存在になってたりしますよね」

と奈緒子が言う。


「そう、そして『鬼』も妖精の一種と言えなくもない」

と四天王の一人『鬼王のアルバート』の方を見てそう言った。


「えー、そうなのー?」

とサラが聞く。

トロールと妖精が同じものだということに納得がいかなかったらしい。

たぶんトロールが可愛くないからだろう・・・と僕は思った。


「そう、フェアリー、エルフ、ピクシー、ゴブリン、トロール、ドワーフ、ホビット、コボルト、コロポックル。このへんは全部妖精が出自だったと思う」

と、僕が思い出しながら言う。

並べてみたらやっぱり結構イメージが違うな、と思った。


「ジュンさんすごいです!」

と奈緒子がと言ってくれた。


「えー、小さくてふわふわ浮いてる可愛いのが妖精さんじゃないの??」

とサラが驚く。

一般的なイメージはそれであってると思うけどねと僕も答えた。


「よくご存知で!」

と四天王の一人『鬼王のアルバート』が微笑みながら言う。


「まぁ、我々はどちらかと言うと妖怪ですから、正確には違いますが、私、四天王の一人『鬼王のアルバート』の管轄下ではあります」

「なるほど・・・」

とアルバートの言葉に僕は頷いた。


やはり、鬼や妖精などのモンスターは『鬼王のアルバート』の管轄らしかった。


「妖精さんってそんなに鬼さんが怒るほど人間の味方なの?」

とサラがシンプルな疑問を持ち『鬼王のアルバート』に聞く。

そう、妖精は見えない所で楽しく暮らしているイメージではある。


「ふふ、あなた達『妖精の粉』をお持ちじゃありませんか?」

と『鬼王のアルバート』が聞く。


「『妖精の粉』?これ??」

とアイテムを取り出すサラ。

このクエストに出る度に必ず貰えるものだった。

そうか、このイベントのための必須アイテムだったのか!と僕が気がついた。


「そう、それです。それをあなた達が持っているというだけで、人間の味方をしているとみなして良いでしょう!」

と『鬼王のアルバート』が語尾を強めてそういった。


「なるほど・・・」

と僕が言う。


「今回は、あくまでご挨拶です。トロールを送り込むのは今回で終わりです。次からはもっと強力なモンスターを送ることにしましょう」

と『鬼王のアルバート』が言う。


「トロール地獄はこれで終わりだって!」

と僕が笑う。3回続いたトロール地獄もここで終止符を打つらしい。


しかし、サラから返事はない。


「ジュン!この人を倒せば、ほんとに『妖精の森の平穏』は戻るってことでしょ?」

「そうだね・・・」

と僕が答える。

C級英雄が倒せる相手ではない事は間違いなさそうだけど・・・と僕が言うより速く、サラは動き出していた。


「じゃぁ、ここで倒そう!!」

と、サラが四天王の一人『鬼王のアルバート』に向かって走りだした。

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