第百八十七話『妖精』
すると、パチパチパチと拍手が響く、部屋の奥から人影が現れた。
「いやぁ、お見事、お見事!」
その男はそう言いいながら近づいてきた。
「あなたは??」
と僕が聞く。
「私は、四天王の一人『鬼王のアルバート』」
そう、四天王の一人が現れたのだった。
「えええ!?四天王??これ簡単なクエストじゃなかったの??」
とサラが僕に聞いてきた。
「うん、簡単なクエストだよ!RPGのイベントだと、最初の方に全然勝てない敵が出てくる事があるんだよ!ラスボスとか」
「えー!!なんなのそれぇ!」
とサラが聞き返す。
勝てないのは困ります!!と言うサラ。
「結構ありますよね、あのゲームもこのゲームも出てきますね!」
と、美少女魔法使いの奈緒子はRPGが好きなので具体的に頭のなかにタイトル名を思い浮かべているようだった。
結構定番のイベントといえるだろう。
「えー!どうなっちゃうのそれ?」
サラが聞く。
「負けても話が進むことがほとんどだね。むしろそのために出てくる。」
「うーん、納得行かないなー!」
と僕の説明に負けず嫌いのサラがそう言った。
「君たちが最近私のトロール達を討伐しているという勇者たちということでよろしいかな?」
と、四天王の一人と名乗る男が僕らの雑談を遮って、そう言った。一気に本題に入ってきた。
「あ、勇者だって!」
とサラが喜ぶ。
「そこ喜ぶところなのね」
と僕は笑う。
「でも、今、私のトロールって言った??」
と、サラはそっちもしっかり聞いていた。
そういうのも聞き逃さないサラであった。
「言ったねぇ」
「言いましたね!」
と僕と奈緒子が答える。
「倒しても倒しても『妖精の森に平穏』が戻らないのはこの人のせいなのね!」
「妖精の森に、手下を送っても送っても倒してしまうのはやはり君たちか!」
とサラが言い、四天王の一人『鬼王のアルバート』も聞いた。
お互いが知りたかった事が分かったようだ。
「なんで『妖精の森』を襲うんですか?」
と、僕が試しに『鬼王のアルバート』さんに聞いてみた。
「それは当然だろう!同類なのに、人間側の肩を持つ痴れ物だからだ!」
「なるほど・・・」
と僕は納得した。
「え?どゆこと、どゆこと?全然同類じゃ無いじゃん!!」
とサラが僕に聞く。
「いや、トロールも妖精の一種なんだよね。いたずらが過ぎて悪役のイメージが強いけど」
「え~~~~~~!!!!そうなの!!」
とサラが驚く。
「そう、ややこしくなるから言わなかったけど、妖精もトロールも出自は同じじゃなかったかな?と実は思ってた」
「そうですね!RPGだと、もともと同じものでも読み方が違うだけで、違う存在になってたりしますよね」
と奈緒子が言う。
「そう、そして『鬼』も妖精の一種と言えなくもない」
と四天王の一人『鬼王のアルバート』の方を見てそう言った。





