第百八十六話『ジャンピングアッパー』
「ハンマーの炎が消えちゃった!!」
とサラが言う。
そして、ちらっと『ファイヤートロール』の方を見るサラ。
「ふっふっふ!これで、ただのトロールちゃんに後戻りだね!!」
とサラが笑った。
『炎化武器 - ファイアライズ』されたハンマーが奈緒子の『ウインド』によって消えたことからサラは何かピンと来たらしくこちらを振り向いた。
「ねえ、ということは、弱点を狙うと、大ダメージ与えられたりする??」
とサラが僕に聞く。
「鋭いなぁ。『武器を狙える』ってところからそれに気がついたの??」
と僕は、サラの洞察力に驚く。
「うん、『武器を狙える』つまり、『当たった場所によって効果がある』ってことは、弱点とかありそうだなぁ、って!」
「天才かよ!!そう!だいたい、アゴとか心臓とか弱いよね!」
とサラの言葉に僕が答える。
いままでの話からそこまで気がつくとはさすがのサラだった。
「なるほど、トロールちゃんの心臓が胸にあるかわからないから、アゴ狙ってみる!!」
「こういう時のサラのカンの良さは半端ないなぁ!」
と、僕はサラの発言に驚く。
そう、モンスターの心臓が左胸にあるとは限らないのだ。
「よーし、いっくぞー!!」
とサラは言う。
「トロールちゃんカモーン!」
とサラはファイヤートロールを煽る。
「カウンターを狙う気か!」
と僕は言う。
「ふっふっふ!」
とサラは笑った。
「グオォォォォォ」
炎を失ったファイヤートロールがサラを射程範囲にいれ、攻撃のモーションに移った。
ファイヤートロールが大きく振りかぶって、サラにハンマーを叩きつける。
その時、グッと、サラがしゃがんだ。
「ジャンピングアッパーか!!」
と僕が叫ぶ、その技をカウンターで当てるなんて、『普通』はできない。
「とりゃぁぁぁあああぁぁぁ!!」
と、サラは、ファイヤートロールがハンマーを叩きつけるよりずっと速くジャンピングアッパーをトロールのアゴに当てた!!そう、サラは『普通』ではなかった。
「やった!!」
と奈緒子が喜ぶ。
「お、どう??」
とサラがシュタッとジャンピングアッパーのジャンプから復帰し聞く。
「クリティカル!!」
と光のエフェクトと共に表示される。
「おお、クリティカル!!」
と喜ぶサラ。そしてその直後。
「クリティカルってなんだっけ?」
てへへへ、とサラが笑う。
「大当たりって事!」
と僕も笑う。
「いぇーい!やったね!」
と、大当たりと言われて喜ぶサラ。
そして、ファイヤートロールは消滅し、コインが飛んできた。
「これで、また『妖精の森』を救ったね!」
と僕が言う。
そう、妖精の森を襲うモンスターをやっつけたのだった。
「えー、でもまた襲われちゃうんじゃないの??」
とサラが笑いながら聞く。
「確かに、ありそう・・・」
と僕も呟く。
すると、パチパチパチと拍手が響く、部屋の奥から人影が現れた。
「いやぁ、お見事、お見事!」
その男はそう言いいながら近づいてきた。
「あなたは??」
と僕が聞く。
「私は、四天王の一人『鬼王のアルバート』」
そう、四天王の一人が現れたのだった。





