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露店を開く

前日に決めていた露店、露店を開く用意はした、ココルカバンにポーションが入ってるのを確認し、手ぬぐいと財布代わりの文房具いれも間違いなくリュックサックにある。

宿から出てまずパン屋で朝食を購入、食べながらどこで開こうかと街をうろうろし、北門の通りと呼ばれる場所に来た。武器屋や防具屋、その他道具屋などが集まる通りであることが一見して分かり、様々な人が行き交っている、ここなら人目に留まるだろう。

露店を開いている人も結構いるので、心細い思いをしなくてもよさそう。

そうと分かれば、民家と民家の間、なおかつ通行の邪魔にならない程度だけ道の端に寄り、リュックサックから手ぬぐいを出して座る場所に敷いた。そして目の前にもう一枚手ぬぐいを敷き、とりあえずポーションを10個程度置こうとココルカバンを開けた時、手元が翳った。

「あれ?」

反射的に顔を上げると、赤い革の鎧、赤い髪を一本に縛ったセリーさんが、ニコニコしながらこちらをのぞき込んでいた。

「や!びっくりした?」

「セリーさん!」

もちろんびっくりした、まさか会うとは微塵も思っていなかったのだから。

「カエデさん露店開こうとしてるみたいだから、ついね」

「いえ、また会えて嬉しいです。今日はお一人ですか?」

「いいえ、ランジも一緒だけど、今新しい防具見て悩んでるのよ」

「そうなんですか」

「それより、露店開くならあっちのほうがいいわよ」

セリーさんは通りのまだ向こう、門のほうを指差した。

「え、どうしてですか?」

「向こうに人気のお店があるからよ、それに民家の隣よりいいわ」

セリーさんが言うならと案内された場所は、武器屋の隣だった。

「こ、ここ、いいんですかね?」

「いいんじゃない?ほら人も多いし」

確かに人は多い、売れるに越したことはないだろう。

「ねえカエデさん、ポーション売るんでしょう?」

「はい、そうです」

「いくらで売るの?」

「一応10タミルで、高いようなら少し値下げを考えてます」

「あらいいじゃない、ポーションって結構使うから、お店によっては15タミルの所もあるのよ」

「ちょっと高いですね」

また先ほどのように手ぬぐいを敷き、今度こそポーションを並べた。

「開店したわね、じゃあポーション5つ頂戴」

「はい、ありがとうごさいます。50タミルになります」

セリーさんは袋から50タミルを私に渡して、並んでいるポーションを5つ取った。

「セリーさん、ギルドでまた近いうちに護衛の依頼をするんですけど、指名して依頼を出すことって出来ないんでしょうか?」

「え!?指名!?」

セリーさんはきらきらと目を輝かせて詰め寄ってきた。

「指名してくれるの!?私たちを!?」

「え、あ、はい、出来るなら…………」

「是非指名してね、指名を受けるとポイント1.5倍なのよ!」

なにそれどこのスーパー。

「はい、その時はお願いします」

「こちらこそ、じゃあまたね!」

「あ、セリーさん」

立ち上がって並べたポーションから一つ手に取る。

「ん?」

「これおまけです」

ポーションを手渡すと、微笑んだ。

「ありがとう」

そうして今度こそ行ってしまったので、座りなおして流れる人を見た。

こういうのは、声をかけたりして販売促進を図るものだろう。

「い、いらっしゃいませー、ポーションいかがですかー?」



結果はよかった。昼前にすべて売り切り、やはり安めの値段に惹かれたようで、また開くかとちらほら聞かれたくらいだ。

これはまた、早く雑草を集める必要がありそうだ。

そしてすべて売り切ったので手持ちのお金が1410タミル、にやけるのを止められない。

リュックサック一杯の雑草での収益が大体1400タミルと考えたら、ココルカバン一杯ならどうだろう、私はココルカバンの容量がリュックサックの4倍から5倍と考えている、ならココルカバンをもう一つ買ってもっと大量に作ったらいいじゃない!

そう考えいたって、以前ココルカバンを買った露店へ向かった、しかし露店は露店、ココルカバンを売っていた露店は見当たらなかった。

「欲しかったのに…………」

まあ露店があっても、またココルカバンが売られていたのかは分からないのだし、諦めるしかない。うな垂れていた顔を上げると、少し離れた所に雑貨店と思わしき店が合った。もしかして売ってるかと入ってみると、入り口近くに髪飾りやブレスレットが綺麗に陳列されていて、思わず目を奪われる。髪飾りもブレスレットも、青色や赤色、緑色など様々な色の石が使われていてとても綺麗なのだ。値段を見てみると、安い物で110タミル。

「たっか…………」

高級雑貨店か何か? しかし興味はあるので店内を見て回ることにした。お店の広さはそこそこあり、一番奥まで大股10歩以上はありそうだ。

右側にカウンターがあるので、左回りに商品を見て回ると、財布や手ぬぐいから、何に使うのか分からないものまであり、そして、それを見つけた。

「こ、これは、石鹸…………!」

油紙の上に、それがあった。手作り感満載のポップ広告には「髪用石鹸ユリシアの香り。60タミル」と書かれている。間違いなく石鹸だ。

ユリシアが何かは分からないが、5センチ画ほどの小ささでこのお値段!高い!

でも欲しい、呉服屋のおばさんが言っていた言葉が頭の中で再生された。

髪はツヤツヤになって、いい香りもするらしいのよ。確かにそう言っていた。

あの時は手の出しようがなかった値段、しかし今は簡単に手が届くじゃないか。

手を伸ばしかけた時、私はここに来た本来の目的を思い出した、そう、ココルカバンだ。思い出した瞬間手を引っ込めた。

危ない危ない、銭湯での気持ちよさに負ける所だった。もう惑わされない、石鹸から目を背けて店内をまた歩き出す。

そうして店の突き当たりに、いくつかカバンが置いてあるのを見て、期待した。しかし中を見てみればただのカバン。置いてないのだろうか。

お店の人に聞いてみることにした、カウンターには金髪の女性が座っている。

「すいません」

「あ、はい?」

しかも凄まじい美人だ。見間違えでなければ長い耳が髪を割って出ている。まさかエルフなのだろうか。

「お客様?どうなさいました?」

「あ。す、すいません」

おもわずまじまじと見てしまったようだ。

「このお店にココルカバンって売ってますか?」

「はい、ごさいますよ」

にこり、笑顔がまぶしい。

エルフの女性は先ほどカバンを見た場所へ私を案内し、こちらです。と言った。

「え?でもさっき見たときは普通のカバンでしたよ?」

「はい、盗難防止のために、購入後、容量を広げる作業をいたします」

「へー。じゃあ好きなものを選べばいいんですか?」

「はい。お値段は本体と、広げる容量によって決めさせていただきます」

「それは、お金を払えばいくらでも大きくしてくれるって事ですか?」

「その通りです」

それは便利だ。一つ一つ見てくが、これだというものがない。それに気づいたのか、エルフの女性は困ったように口を開いた。

「申し訳ありません、あまり種類がありませんで」

「いえそんな、でもウエストポーチがあったらいいなと思ったんですけどね」

「ウエストポーチですか?うーん…………」

ガサガサとカバンを漁ると、ひとつを手にとって見せた。

「これくらいの大きさなら、紐の長さを調節すれば大丈夫ですよ、きっと」

「いやー…………」

普通のカバンとして使うなら小さめかも知れないが、ウエストポーチとしては大きい気がする。お尻がほとんど隠れてしまいそうだ。

「ちょっと大きいかなーって」

「そうですか?あまり小さいものですと逆に使いづらいのでは?」

それもそうかも知れない、これでいいかな。

「じゃあこれ下さい」

「ありがとうごさいます。カウンターへどうぞ」

カバン自体の値段は20タミル、それに、どれだけ容量を増やすかで値段が変わるので、とりあえず今持っているココルカバンを見せた。

「このくらいの大きさにするにはどれくらいかかりますか?」

エルフの女性は中を確認し、すぐに答えた。

「これくらいでしたら200タミルですね」

「ではそれでお願いします」

「はい、少々お待ちください」

エルフの女性はカウンターの後ろに設置してある重々しい金庫に指を押し当てる。何をしているのかと思うと、金庫からガチンと鍵の外れる音がした。

そして中から透明な石を出したのだが、手の平より少し小さいビーチグラスのように見える

それをカバンの上に置き、チョンと指でつついた瞬間粉々に砕け、融けるようにカバンへしみ込んでいった。

「はい、お待たせしました、ココルカバンが出来ましたよ」

「え、今ので?今の石みたいのってなんですか?」

「ご存知ありません?拡張石ですよ」

「拡張石?」

「はい、ココルという魔術師がカバンの中を拡張するために作った魔法、それが封じ込まれた人工の魔石です」

「そうなんですか、初めて見たものですからびっくりしちゃって」

ココルカバンのココルは、人の名前が由来だったらしい、それにしても、今ので中が広くなっているとは信じられない。さっそく中を見てみると、ちゃんと広くなっていた。

「わー、ありがとうございます」

私はもはや財布と化した筆記用具入れから、220タミルを支払った。

「ありがとうございました。ところでさっき、熱心に石鹸をご覧になっていたようですが」

「ああ、欲しいとは思ったんですけど、結構高いですから諦めようかと」

「そうでしたか、いつでも取り扱っておりますので、機会がありましたら、是非お買い求め下さい」

「ええ、いつか欲しいですからね」

「はい、ではまたのご来店お待ちしております」

いい笑顔で店を送り出されて、いい気分だ。まさかエルフがいるとは思っても見なかったし、その辺で見かけるのは普通の人かトカゲ人間か魔女くらいなので、珍しいのではないだろうか。

新しく買ったココルカバンをさっそく腰に下げた。

雑草を探して収集を始めなければ、おそらく今日は街の草むしりに貢献して終わるだろう。何と言ってもココルカバン一杯の雑草を集めようとしているのだから。

ココルカバン一杯の雑草を集めたらいくつポーションが出来るのか楽しみだ。リュックサック一杯の雑草でポーションを作ったときは、ココルカバンにまだ7分目といった所だったので、次はココルカバン2つとリュックサック一杯を目指すつもりでいる。

いつか自分の家が欲しいのだから、空き家があるかどうかも調べて置かなければならないし、値段も知りたい、収入があれば家を買うのは夢じゃないのだ。




ここまで読んでいただきありがとうございます。

何かあったら知らせて貰えると嬉しいです。

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