終幕~駆ける閃光~
エクストライベントの氷と夢の聖域クリアから一月が過ぎた。
インフィニティ・ブレインは無限螺旋城のイベントが成功し、まだまだ飛ぶ鳥を落とす勢いで運営をしている。課金だけでなく、無課金にも優しいステージをもうけて本当のゲームテクニックを競わせたり、ミーナのマネーキャッスルの管理で未成年の廃課金事件は大幅に減り、もし何か問題があっても法律上はインブレ側に返金義務は無いが、外部顧問になった京乃ユメの指示によりミーナが全力で返金させていた。
これにより社会問題と化していたゲーム課金問題は一旦の解決を得てキョーノイマジンの親会社である京乃グループの悪名もだいぶ減っていた。ユキが崩壊させたはずのインブレが当たり前のようにまだ存在しているという事は明らかにユキが最後にこうしたのだろうが、今になってはわかるよしもない。そして、あれから一月経った後の電閃は――。
いつも通り、冷凍のピザを食べて自慢の金髪を入念にセットしていつもの時間の電車で学校に向かっていた。学園では藻湖田との校則戦争は止んでいるが、またいつ再燃してもおかしくない雰囲気ではあった。
テンプレ駅から鬼瓦線に乗ると目の前に立つ少女が無限学園の制服を着ているのに動揺する。髪は漆黒のロングでスラリとした体型。透明さを感じる横顔に息を飲む電閃は電車内でユキに似ている人間を見かける。
(ユキ……)
無限学園の白いセーラー服を着た病的に痩せた黒髪の少女。
それはユキを生み出したインブレのメインコンピューターであり、電閃にライトニングのオンリーアバターを渡したユメだった。
この一月の間、無限病院のリハビリプログラムを精力的にこなして身体の筋力などもある程度元に戻り、体力的にも精神的にも回復してきたユメは初めての無限学園の登校日だった。そのユメの後ろに立ち、二人は外の流れる風景を見つめる。空は澄み渡るように青く、流れる風は穏やかで大地は芽吹き美しい花々を咲かせている。これはデジタルデータでは再現出来ない生きた現実の美であるのを改めて電閃は感じていた。
その大空に流れる一つの大きな雲にユキの面影を重ねた。
もうユキは消滅しいなくなったが、ユキという明るいバラのような気品のある少女はこの二人の心の中にいる。
そして鬼瓦線は無限脳駅に停車し、多少の悲しみと明日への希望を胸に金髪の閃光の少年は自分が選ぶ人生を閃速で駆け抜けた――。




