The episode of plunderer 3
風切音さえ背後においた光速の矢が狂える黄金の悪魔の胸を貫く。
かつて一度たりとも貫かれたことのない厚く堅い体を串刺しにしたのは、
『その』ためだけに創られた硬く鋭い槍。
深く深く貫きすぎた為にもはや抜くことはかなわないが、
『そう』なることは既に覚悟の上であった。
凶暴熊には頑強な躰を持ちすぎたためか今迄に痛みに対する耐性はない。
だが、そんなことを差し引いても十分以上の激痛が、いや激痛という言葉さえもぬるい痛みが、
彼を襲っている。死ぬほど痛いのは当然だ。何せ殺す気で刺されたのだから。
全身に血を送るポンプに劇毒を流し込まれ血とともに激痛が体中を巡る。
凶暴熊が死に瀕していくように、また『先代』の女王も朽ちていく。
脚は既になく、役目を終えた翅も粉となり風に舞っていく。
風の力を冠す先代女王はそのまま風の中に消えて―――
消えていくのではなく凶暴熊の振るう爪によってその生涯を終えた。
エアリアルヴェスパ女王種スペルヴィアを倒した。
凶暴熊は称号AREA BOSS と 称号 七つの大罪『傲慢』を手に入れた。
SIDE 名もなきオス蜂
戦闘中に先代女王スペルヴィアは密命を下していた。その内容は
『自分が敗北しそうなときは姫たちとなるべく多くの兵を逃がすこと』
命を受けたフォミカの護衛はしばしの間主の誇りを裏切ることにした。
全ては主の命を守るために。
主が姉と戦闘をしている間、彼女たちの命で動く兵のうち揺動、防御を除く要員を女王の命として
少しずつ退避させ、先代女王が崩御した際には仇を討とうとする2匹の娘を何とかして離脱させた。
「邪魔をするつもりであれば――
「どうぞ殺していただいて構いません。もとよりこの命はフォミカ様のもの。地獄に供するといった誓いを違えるつもりはありません。
しかし、先代女王陛下はフォミカ様方に未来を託されたのです。失礼ながらいくら毒がまわっているとはいえ、その上で先代女王陛下に
振るった攻撃をみるに、現状では勝ち目はないでしょう。今はどうか耐え女王陛下とともにお逃げください。それをきっと先代陛下も
………真に僭越ながらこの私も望んでおります。」




