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LXVIth

新たなる形態ちからを得たデュカリスに雌海龍は動揺を隠せない。


<何よ 何なのよ こ、この 化け物>

「私が何か、ですか? 愚問です。私はスペルヴィアの娘デュカリス。世界で一番美しい女王蜂です。」


言い終わるのと同時にデュカリスは雌海龍に向かって飛翔した。

雌海龍はとっさにかわそうとしたが、速い上にほんの少しだけ淡い蒼を帯びただけの透明な氷の体は、

光の少ない深海では予想以上に視認しずらく、デュカリスの氷翼が雌海龍の尾付近を切り裂いた。


切り裂かれた傷口が氷結していく。氷は傷口を塞ぐだけに止まらず周囲へ侵食していく。


<なんなのっ!? どうなってるのっ!?>


混乱の極みに達した雌海龍を無視して次々と雌海龍のその巨大な身体を氷翼で切り裂き、

その傷が増えるにつれ全身が凍結していく速度が上がっていく。

雌海龍を切り裂いた回数が二十を超えたあたりでだろうか、デュカリスが攻撃を止めたとき

雌海龍は首から下がほぼ完全に凍結していた。

もう雌海龍が身動きできなくなったときデュカリスはゆっくりと雌海龍の頭上に移動した。



<や、やめて。何するの?>

「最初に言ったとおりです。私、約束は割と守る女なんですよ?」

そういって尾を雌海龍の額に向ける。


<何で私が殺されなきゃいけないの>

「私がしたいことするのに理由や許可なんて必要ですか?」


<ゆ、許してください。お願いします。>

「どうしましょうか?うーん、どーしよーかなー(棒読み)」


<なんでもしますから>

「……なんでも、ですね?」


<はい、なんでもですっ>

「無様ですね。あー惨めですねー。私が憎くないんですか?殺したいんじゃなかったんですか?」


デュカリスの身体の淡い青色が徐々に色を濃くなっていき更に陸の蜂のように黄色く変わる。

それにあわせて、向けられた尾の周囲の海水が急速に冷やされていくが雌海龍にも判った。



思うんですが、相手の心が読めるっていいことばかりじゃないですよね?

<あっ、あぁっ ゆ 許して 赦して下さい>


心が読めるんですから、もう口に出して言わなくてもいいですよね?

<あ、あぁ、あああああ”あ”あ”あ”ぁぁ>


そう伝え尾を軽く雌海龍の額に当てる。

<あ”あ”あ”あ”あ”あ―――

雌海龍の頭上から尾までが一瞬で凍りつき、 爆散した。

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