XLIIIth
大女王というのは言ってみれば院政である。
口を出そうと思えば出せるが出さなければ出さないでなんとかなる。
公式にクティーラに王権を授けた以上運営責任者はクティーラである。
勿論強引に奪い返すことは可能であるがデュカリスにそのつもりは無い。
働き蜂から献上された貢物を食し、女王から奏上される近状を受ける。
かつてと似たような似ていない生活をしてデュカリスは考える。
幼虫時代はいつか女王になって巣の母になろうと思っていたんですが、
母を飛び越えて始祖様ですからねー。ちょっと巣の運営とかしてみたかったですね。
あと、初めて生まれた姫はどんな仔だったのかせめて一目見たかったですが
一度も見ることなく先に逝かれてしまったのは非常に思うところがあります。
私や母に似て可愛かったでしょうね。とか一度も話せなくてごめんね。とか
……育児放棄してゴメンナサイとか………
よくよく考えてみれば幼虫で産まれて、
成虫の庇護を受けることなく姉妹達と頑張って休眠した私を守るための巣を作りつつ、
独力で成長していき、
シーヴェスパが現在この海域の支配者たり得るための巣の基礎を築いていったんですよね。
ごめんなさい。ほんとにダメな母親でごめんなさい。
ところでクティーラは最奥の間に来てますが、ところで執務の方は大丈夫なんでしょうか?
よく来るって頻度でもないですよね。
だって昨日なんて玉座よりも此処にいる時間の方が長かったのは大丈夫じゃなく問題です。
それとなく言葉を変えて聞いてみたところ
「問題はありませんわ大女王陛下。大女王陛下の血を継ぐ我々にとって、
栄光なんて向こうから降ってくることが約束されておりますから」
でも仕事しろよって突っ込みをグッと我慢。
ここは最近の若い子はっていうべきところなのでしょうか?古代からある言葉ですけど。
それと、働かなくても大丈夫。
だってさいきょーだから的な発言については賛同できるところもありますが、
取りあえず二代目女王が不憫でなりません。私の血が優秀なのは私が誰より知ってますが、
巣を築き上げたあなたの努力と功績は、せめて私だけは決して忘れませんので。
現在クティーラと話していますが、最初とは違い目を見て話すようになりました。
私の許しと命によるところが大きいのだとは思うのですが…
でも、いつでも昇天できそうな恍惚とした表情で見られるのは遠い母として将来が心配です。
もし私がニコポとかナデポとかしたらどうなるんでしょうか?
自分の血を継ぐもののアヘ顔ダブルピースなんて見たくありません。
Side クティーラ
あぁ、大女王陛下。今日もお美しいですわ。2代目女王陛下の御代より今代に至るまで衰えることのないお美しさ。
今お話しいただいているという事実だけで至りそうですが、初代より綿々と流れる昆虫の中でも極めて優秀な
頭脳のおかげでお言葉が頭から流れていくのではなく処理して会話に続けていくことができるのですが。
それにしても、あの涼しげな眼差し。いい。実にいいですわ。
別にクティーラは2代目を軽んじていることはなくむしろ非常に敬意を払っているのであるが、
初代には敬意というよりも崇拝しているところがある。




