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四天王最弱だった俺、処刑されたら冥府で最強になってました  作者: ふりっぷ


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6/7

灰の宮殿で、女王モルゴーラを討つ

灰の宮殿、その主は冥府の女王。

分解と輪廻を司る彼女に対し、

毒と腐食という歪な力で挑むクアトロ達。

灰が降りしきる宮殿は、

生物の気配すらなかった。


ただ、塵となった灰が静かに足元に積もっていく。


俺とドラゾンが祭壇に踏み入れると、

仮面を付けた女王がゆっくり立ち上がる。


「第四層までよく来たな。

 四天王最弱にしては、上出来だ」


「だだっ広い宮殿に一人で住んで女王気取りか

 頭の中も灰だらけだな、ババア」


モルゴーラは無言で紫色の液体を飲み干す。


「ま、マジックポーション……!」


「ほほ。魔力なきお前には、

 喉から手が出るほど欲しかろう」


ドラゾンが尻尾を振ると足元の灰が宙に舞う。


「ご主人、あれ飲んだら魔法撃てるの?」


「……少なくとも死ぬ確率は減るな」


「早うかかってこい。

 お前には地上侵攻の先兵になってもらうのでな」


◆灰の女王モルゴーラ

【HP:3500】 


【特性:灰化(物質分解)/灰霧展開/灰因子精製】

【弱点:湿気/毒因子による灰化阻害】

【※灰は毒に弱い。自然界の理。冥府でも同じ】


モルゴーラが指を鳴らすと、

床から灰が噴き上がり、空気が濁り始めた。


【状態:灰化進行(軽度)】


「主様ぁっ! 体がざらざらですぅ~!」


俺は口元を押さえる。


「ドラゾン。あれは空気中の灰因子が

 生者の組織を削るタイプだ。吸ったら死ぬ」


「さも当然みたいに言わないでくださいぅ!」


「お前はアンデッドだ、これ以上死なない。

 ざらざらは我慢しろ」


俺は灰霧を見定める。


(……灰因子の濃度が高すぎる。早めに何とかしないと)


灰は瞬く間に周囲を包んでいく。


(そうか、毒を撒けば……逆に灰が詰まって動きが鈍る)


「ドラゾン! 周囲に毒霧を薄く撒け!

 濃すぎると灰が固まる、薄くでいい!」


「は、はいぃ~!」


ドラゾンが腐食ブレスを薄く散布。

灰霧がざらっと音を立てて重く落ちる。


ドラゾンが口元を拭きながら、

ちょっと照れくさそうに言った。


「……オデの唾、ちょっと酸っぱかったですぅ~。

 主様、味見しますかぁ~♡」


「いらねえ!!その姿でじゃれつくな」


ぎりっ。


モルゴーラが唇を嚙み締めた。


「……毒で灰が凝固……?

 裏切り者め、階層主にしてやった恩を忘れたか」


「頭を砕かれ灰を詰め込まれたことは覚えてますぅ、

 いつかぶっ殺すつもりでいたゾン」


「教育が足りなかったようだねぇ」


モルゴーラは床の灰を操り、兵を形作る。


《灰殻兵アッシュシェル》


十数体の灰の騎士が立ち上がり、包囲を狭めていく。


「固形化した灰は毒では溶けぬ。絶望したか?」


「主様ぁ~! どうするんですかぁ~!」


俺は低く笑った。


「怒ったり泣いたり、忙しい奴だな」


《灰殻兵アッシュシェル》が一斉に刃を構える。


「固形化した灰は湿気に弱いんだよな」


「え? 湿気……?」


「ドラゾン。毒霧じゃなくて、

 唾としてぶっかけろ」


「そ、そんなのでいいんですか~!?」


「いい。灰は水に弱い。鉄より脆いって話だ」


ドラゾンの唾液が飛び、

灰殻兵がぐしゃっと崩れ落ちる。


モルゴーラが動揺した声を漏らす。


「……冥府で私の灰殻兵を……?」


「マジックポーションっ!」


ドラゾンが王座へ突っ込むと、

モルゴーラの口角が不気味に上がった。


「退け、ドラゾン。まだ何か企んでるぞ」


「何故、私がわざわざこれを見せてやったと思う?」


次の瞬間、灰の輪が割れ――


《冥獣ウロボロス・灰化》


全長数百メートルの灰の蛇神が現れた。


「これが私の真の力。

 全てを灰に還す輪廻の獣だ」


グギャギャギャ。


自らの尾を飲み込んだ大蛇が低く叫ぶと、

灰のブレスが襲いかかる。


【HP 4100 → 2800 → 1900/5050】


ドラゾンが盾となってブレスが分散されたが、

もう一撃食らえば危険だ。


「主様は下がってくださいぅ~!

 オデが全部溶かしますぅ~!」


ドラゾンが《腐食のブレス・極大》を放つ。


だが灰で出来た表皮は次々と再生し、

毒は中和されていく。


【状態:灰化進行(重度)】


「無駄だ。冥獣ウロボロスには

 灰の加護を与えておる」


「……ドラゾン、退くんだ!!」


ウロボロス尾が横殴り振り回される。


ドラゾンは咄嗟にドラミィに変化し、

身を縮めた。


「ふふっ、これは躱せるか?《逢花葬送(おうかそうそう)》」


花弁のような灰炎が舞い、触れた空間から色が失われていく。


だが、灰炎に呑まれながらも、

ドラミィは笑っていた。


「主様、これで……回復ですぅ」


半身を焼かれながらも、

女王の手からマジックポーションを奪う。


俺は瓶を叩き割り、頭からかぶった。


「飲んでる時間がねぇ!!」


【MP 0 → 800】


――その瞬間、理解した。


灰は、分解の終点だ。

物も命も、形を失った結果。


だが――

結果は、原因には勝てない。


腐食の黒炎は、分解の「前」に触れる。

存在そのものを、腐らせる炎だ。


「MPが体中を駆け巡る感覚――久しぶりだ。

かつて四天王だった頃の魔力が、蘇ってくる。


お前の輪廻、俺が喰らう!!」


《腐食の黒炎・土槍纏い・極大》


黒と灰の劫火がせめぎ合い、やがて冥獣を貫く、

灰の蛇神は悲鳴を上げて崩れ落ちた。


灰は燃え尽きず、風にも戻らなかった。

ただ、何かに貫かれた孔から喰われた跡だけが残った。


モルゴーラが膝をつく。


「……何が起こった……

 灰空間で……冥獣を、貫くなど……」


俺はゆっくり歩み寄る。


「お前、灰に頼りすぎたんだよ」

次はいよいよ冥府の支配へ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
Xでお見かけして一気に最新話まで読んでしまいました! めっちゃ面白い……最下層に落とされ、まさかクセ強そうな仲間ができるとは(笑) まだまだ波乱もありそうで、闇が深そうな雰囲気が漂ってますが……続きが…
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