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四天王最弱だった俺、処刑されたら冥府で最強になってました  作者: ふりっぷ


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4/7

最弱の亡者、冥府で光の戦士を解放する

第六階層ボス・光の戦士スコットとの死闘!

HP差30倍、再生持ち、アンデッド特攻、即死攻撃あり

扉を抜けると、また灰色の空だ。


光は差し込まず、亡者の魂がこすれ合うと僅かに発光する。


風は重く、腐った血の匂いを含んで吹き抜ける。

骨の粉が舞い、視界の端で白い粒が流れていく。


【HP 42/5000】

【MP 0/3000】

【状態:毒吸収中・膝優先修復】

【新権能:《腐食の黒炎・微》】


「……まだ、生きてるな」


独り言を漏らすと、喉の奥がひりついた。

声帯の半分は、もう溶けかけているはずなのに。


第六階層。

灰色の荒野を超えた先は、だだっ広い通路だった。


天井は低く、壁も床も、すべてが黒ずんでいる。

まるで巨大な死体の内臓を、

腹の中から歩かされているような感覚。


俺は、足を優先して修復しながら前に進んだ。


一歩ごとに、骨が鳴る。

逆向きの膝が、回転して元の位置に納まった。


「……多勢は、もう勘弁だぞ……」


そう呟いた瞬間。


――ゴトン。


前方で、何かが転がる音がした。


白い球体。

骨でできた頭蓋だった。


次の瞬間、床のあちこちから骨がせり上がる。

組み上がるように、ゆっくりと形を成していく。


骸骨の兵士。

だが、ただの骸骨じゃない。


骨の隙間から、黒い粘液が脈打つように溢れ、

まるで内側から生きているかのように動いている。


【聖晶同盟・光の戦士スコット《第六層階層主》】

【HP 1200】


「……光の戦士、かつての英雄も冥府に落ちるのか」


思わず、息を吐いた。


HP差は、約三十倍。

普通に考えれば、勝負にすらならない。


だが――

動きは、鈍い。


スコットは、ぎこちない動作でこちらに向き直ると、

骨の剣を持ち上げた。


ズ……ン。


一歩。

攻撃モーションに入ると突然動きが早まる。

剣を振り下ろす速度が見えない。


「……こっちは無手だってのに」


俺は、正面から向かわなかった。


這うように、横へ。

壁際へ。

距離を保ち、ひたすら逃げる。


《ライトニング》

ザンッ!


骨の剣が光り輝き、

閃光が一直線に向かってくる。


当たれば、即死だ。


「……っ、くそ……!」


俺は床に倒れ込み、

反射的に《毒吸収》を続ける。


空気に混じる瘴気。

床に染み込んだ腐臭。

すべてが、今の俺にとっては栄養だった。


【HP 42 → 48 → 55】


少しずつ、だが確実に回復していく。


スコットが、再び剣を構え迫る。

気のせいか更に速度が増している。


「……今だ」


俺は、骨の脚に手を伸ばした。


【《腐食の黒炎・微》発動】

【代償:生命力転化:HP -100】


一瞬、視界が暗転する。


だが、指先から――

黒い火花が、弾けた。


ジュ……。


触れた部分の骨が、

音もなく、ゆっくりと溶けていく。


「……効いてる……!」


だが、次の瞬間。


ズルリ、と。


溶けたはずの部分に、

黒い粘液が集まり、再び骨を形作る。


再生――。


「……チッ」


俺は、すぐに距離を取った。


HPは減る。

だが、再生される。


何度も、何度も。

触れては逃げ、削っては回復する。


【HP 120 → 20 → 60 → 15 → 80】


地獄のような往復。


どれだけ削っても、

こいつは、倒れない。


「……再生、か……」


息を吐きながら、

俺は気づいた。


黒炎の使い方を間違えていた。


燃やすんじゃない。

纏わせ、腐らせるんだ。


再生そのものを、

成り立たなくさせる力。


「……だったら……」


狙う場所は、一つ。


スコットの胸部。

骨の奥で脈打つ、黒い核。


「……そこだ……!」


俺は、わざと転んだ。


骨の剣が、振り下ろされる。


ギリギリでかわすが、

肩が裂ける。


【HP 140 → 102】


激痛。

視界が歪む。


だが――

距離は、ゼロ。


俺は、全体重を乗せて、

胸に手を突っ込んだ。


【《腐食の黒炎・微》発動】

【HP -100】


ジュゥゥゥゥ……!!


「ここは、暗い…」

初めて、スコットが声を上げた。


骨が、悲鳴を上げる。

黒い核が、泡立つように腐り始める。


再生が、止まった。


冥府の女王に囚われていた光の戦士は、

ゆっくりと崩れ落ちた。


「額の土の紋章

 ――まさか、帝国四天王に救われるとはな…」


眼窩の奥に人としての安堵が浮かび、

次の瞬間白い塵となって風に流される。


【スコット《第六層階層主》 撃破】


しばらく、動けなかった。


地面に転がり、黒ずんだ天井を見つめる、

第五層の扉が遠くに見えた。


「……勝った……のか……?」


信じられなかった。


滅ぼされた国の光の戦士。

前任の土の四天王と相打ちだったはず。


だが――

俺は、確かに倒した。


【HP最大値+50】

【毒吸収 効率上昇(小)】

称号:〈光の戦士殺し〉


体の奥で、

何かが増えた感覚がした。


震える足で、立ち上がる。


その時。


――最弱でも、亡者なら光の戦士に勝てるのか。


通路の奥から、

モルゴーラの声が響いた。


「またお前か……」


影が、揺れる。


姿は、まだ見えない。


「冥府の黒炎、復讐に相応しいな」


その声は、

楽しそうで、冷たかった。


俺は、拳を握る。


「俺は道化じゃねぇ……」


ボロボロの体で、

それでも、前を睨む。


「……下らない試練はたくさんだ……」


影は、笑った。


扉が開き、

第五層からマグマの熱気が、噴き出してくる。


――まだ、終わりじゃない。

次回は第五階層突入! マグマの熱気と共に、新たな試練と

――もしかしたら初めての会話できる相手が登場するかも?

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