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四天王最弱だった俺、処刑されたら冥府で最強になってました  作者: ふりっぷ


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3/7

第六階層へ続く試練の門〈慟哭の原野〉

魔力ゼロ、HPほぼゼロ、味方ゼロ。

あるのは怨念と根性だけ。

そんな男が冥府の試練に挑みます。

灰色の空。

風に亡者の声が入り混じる。


地面には積み重なった白骨が転がり、

魂が風に混ざって渦を巻いていた。


【HP 18/5000】

【MP 0/3000】

【状態:よろめき歩行】


俺は、腐った足を引きずりながら歩いた。

膝は相変わらず逆向きで、

肉は剥がれ、動くたびに骨が軋む音がする。


「……ここが第六階層へ続く試練の門か

……俺の中の怨念が、形になって襲ってくるって話だな」


その時だった。


骨の山が、蠢いた。


「……ッ!」


影が立ち上がる。

俺と同じ姿――だが顔だけが、

劫火公爵カプリチェス・インフェルノの炎だった。


「四天王最弱。お前は、ここで死ぬべきだ」


ドンッ!


胸に蹴りが叩き込まれ、俺はなすすべなく吹き飛ばされる。


【HP 18 → 12】


「ぐっ……! 冗談じゃねぇ

 ……本気で殺しに来てやがる!」


立ち上がろうとした瞬間、別の影が現れた。

今度は、マルゲリウスの冷たい笑顔。


「弱者が生き残るのは、世界の損失だよ?」


ビシャッ!

水の鞭が容赦なく背中を裂く。


【HP 12 → 7】


「うあああっ!!」


さらに――

風を裂き、ディアボルスの影が舞い降りた。


「ははっ、最弱。

私が次の皇帝になるまで、

ずっとそこで這っていろ」


――皇帝、だと?


ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!

風の刃が雨のように降り注ぎ、体を切り刻む。


【HP 7 → 4 → 2 → 1】


俺は地面に叩き伏せられ、

歯を食いしばりながら骨を軋ませた。


(……こいつか)


六ヶ月前。


「四天王筆頭は損な役回りでな」

苦笑いで渡された、あの魔導器。


カプリチェスもハメられたって訳か。


――裏で、全部仕込まれていた。


「……てめぇかよ、ディアボルス

 暴走の呪印を魔導器に……」


影が、冷たく笑う。


「聞いてどうする? 

憎しみが強いほど、お前はここに縛られる」


MPはゼロ。スキルも使えない。

体は、とっくに限界だった。


「……クソ……魔力ゼロじゃ……何も……」


影たちが俺を見下ろし、容赦なく言葉を浴びせる。


「死ね」

「消えろ」

「役立たず」


泥に顔を押し付けられながら、俺は必死に呼吸した。

吸って、吸って――。


【HP 2 → 1 → 2 → 1】


「……まだだ……もっと……吸え……!」


瞬間――


【《すべての毒吸収》発動】


腐った風、腐った土、漂う魂の残滓。

それらすべてが毒として、体内へ雪崩れ込む。


【HP 1 → 5 → 12 → 25】


焼け付くような痛み。

だが――


「……まだ……死ねねぇ……!」


俺はズルズルと立ち上がった。

右腕は千切れ、左足は折れ、顔の半分は腐り落ちている。


それでも――立つ。


影たちが再び襲いかかってくる。

俺は逃げた。


這いながら、削られながら、

呼吸の度に、毒を吸った。


【HP 20 → 15 → 22 → 18 → 30……】


何度も意識が飛びかけ、何時間も地獄を味わった。

それでも――俺は一度も死ななかった。


そして、ついに。


影の一体が、膝をつく。


「……どうして……まだ……立てる……?」


俺はボロボロの体で、その足に手を伸ばした。

指先から、黒い火花が散る。


 ――ジュッ……。

 影の足が、ゆっくりと腐り落ちた。


【《腐食の黒炎・微》スキル化】


――魔力が、無くても。

――命を削れば、燃える。


「憎しみが強いほどなんだって?

 冥府でまで、俺を舐めやがって」


影たちは足元から崩れ、霧となって消え去った。


「弱さは罪じゃねぇ。必ず、復讐する。

 特に――ディアボルス。

てめぇだけは、この痛みを思い知らせてやる」


【HP 42/5000】

【MP 0/3000】

【新スキル:《腐食の黒炎・微》Lv1】


俺は泥と血にまみれながら、

霧散した地面を踏みしめる。


「……次は……もっと強くなる……」


やがて、骨の大地の先に淡い光が見えた。

次の階層へ続く門が、静かに開き始めていた――。


見ての通り、まだ全然強くありません。

むしろボロボロです。

でも死んでないので勝ち、ということで。


ここからは二日に一度の更新です。

よろしくお願いします。

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