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四天王最弱だった俺、処刑されたら冥府で最強になってました  作者: ふりっぷ
第二章 地上で渦巻く陰謀

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嵐潮公爵マルゲリウス撃破

嵐を操る元四天王マルゲリウスとの決着です。

水は流れを止めた瞬間に腐る――その意味をご覧ください。

 流れていた水が、淀んだ。


 それは一瞬。

 だが――水にとって、それは死だ。


 大技は使えない。

人質を取って動けないマルゲリウスも同じだ。


「……なるほど。冥府で知恵まで拾ってきたか」


「ヘドロまみれで、お似合いの姿になってきたな!」


「こんなもの、新たな水で押し流せばいい」


 俺は黒炎を揺らす。

「そんな時間、与えると思うのか?」


「こうすればいいだろっ!」

 マルゲリウスは、ドラミィをこちらへ蹴り飛ばしてきた。


「きゃ♡」


 俺は即座に踏み込み、ドラミィを受け止める。


「……どこまでクズなんだ。元四天王として恥ずかしいぜ」


「くくっ、ほざいていろ」


 その間に、マルゲリウスは巨大な亀甲を前面に構えた。


 流体装甲を極限まで圧縮。

 完全な球体防御へと移行する。


 ――甲羅は砕かせない。

 黒炎も、通さない。


 だが。


「……閉じたな」


 俺の黒炎が、

 水の殻の内側に貼りついたヘドロから燃え上がった。


「学習してないな」


 俺は静かに詠唱する。


「腐敗した水よ、毒となり、燃え上がれ

 ――《腐食の黒炎・滞留侵蝕たいりゅうしんしょく》。」


 流れを失ったヘドロが、

 一斉に毒へと変質する。


「な……っ!?」

 透明だった水が、紫に濁る。

 

 亀甲の内側から泡が立ち

 ぬめる肌が、ぶくりと膨らむ。


「絶対防御だぞ!?

 我が甲羅は……!」


「防御は、外に向けるものだ」


 俺は歩く。

 ゆっくり、確実に。


「内側は――最初から無防備だ」


 ドラミィが鎖を引きちぎり、立ち上がる。


 そして、張り付いた笑顔のままマルゲリウスへ近づいた。


 ガシッ。


「主様ぁ~♡

 この人、水溜まりみたいで踏み心地悪いですぅ~」


「踏むな」


「えへへ、了解ですぅ♡」


「いやだ……私は嵐潮公爵だぞ……!」

 甲羅にヒビが入る。


「貴様も道連れにしてやる!」


 マルゲリウスが雷撃を放とうとする。


 だが、電流は――

 毒水の中で、逆流した。


「が……ぁ……!」


 自分の属性に焼かれる。

 最も無様な死に方だ。


「最後まで、学習しない奴だったな」


 俺は額の紋章を光らせる。


「だから――裁く」


《冥府裁定・腐潮断罪ふちょうだんざい


 黒炎が、甲羅ごと包み込む。


 毒に満たされた水が蒸発し、


 ベキュベキュペギュィィ。


 嵐潮公爵マルゲリウスは――

 甲羅を砕かれながら、溶け落ちた。


――閉じなければ、生き延びられた。

 その思考が、遅すぎた。


【嵐潮公爵マルゲリウス 撃破】

【称号:《水を腐らせし冥王》獲得】


ドラミィが、ぱちぱちと拍手する。

すでに、顔が半分溶けているのに、無邪気な笑顔。


「ご主人〜。

 わたし、潜入向いてないみたいですぅ〜……ゾン」


「俺も反省している」


「でも……

 ちゃんと助けに来てくれましたぁ……♡

 主様、かっこよかったですぅ~♡」


ドラミィは、砕けたイヤリングを握りしめ、

 涙目で抱きついてくる。


(……ズルいな。

 こんな顔で言われたら、怒れねぇ)


「あー、対の魔道具として使えなくなった。

 俺のブレスレット、代わりにやる」


「主様、大好きですぅ♡♡

 イヤリング壊れてごめんなさいぃ~」


「溶けた顔で抱きつくな。

 いいか、絶対その姿で歩き回るなよ。

 ちびトカゲに戻れ」


「えへへ〜……

 努力、しますぅ〜。

 溶ける速度、遅くなるように……♡」


(がんばる方向が特殊すぎる)


 でもまあ――

 こいつには、これでいい。


 だが。


 胸の奥で、黒炎がざわついた。


 ――誰かに、見られている。



【ステータス更新】

クアトロ=フォルミア・デッドロット

HP:3600/6000

MP:4000/5500

称号:《冥府の真王》《劫火を喰らう王》

   《光の戦士殺し》《ドラゴン使い》

仲間:ドラミィ(永遠の腐れ家族)リンク復活

新称号:《水を腐らせし冥王》


◆暴風公爵ディアボルス視点


――「予定通りだ」


 高い塔の上。

 風だけが、世界を見下ろしている。


 ディアボルスは、笑っていた。


「嵐潮が落ちたか」


 手元の風鏡が像を結ぶ。


 帝都裏路地。

 黒炎を纏うクアトロ。

 その背後で跳ね回る、腐れドラゴン。


「お前が冥府の王でいられるのも長くはない」


 彼女は指を鳴らす。


「水は閉じるから死ぬ。

 炎は燃えすぎるから滅びる。

 土は――耐えすぎるから歪む」


 別の風鏡が浮かぶ。


 そこに映るのは、聖騎士フィン。


 光結晶を携え、

 怒りと正義に燃える顔。


「フィンは光を信じている」


 ディアボルスは肩をすくめた。


「クアトロは冥府を信じている」


 そして――


「皇帝は、相打ちを信じている」


 風が、笑う。


「誰も気づいていない。

 この戦争の勝者が――

 最初から決まっていることに」


 竜騎士レインはよくやってくれた。


「光水晶は帝国に入った。

 闇もまた、輝く」


 風鏡の中で、クアトロが空を見上げる。


「踊れ、冥府の王」


 ディアボルスは、金色の髪を揺らし舞い上がる。


「すべて――予定通りだ」


嵐潮公爵、ここに退場。

戦争の本当の勝者は誰となるのか。

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