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四天王最弱だった俺、処刑されたら冥府で最強になってました  作者: ふりっぷ
第二章 地上で渦巻く陰謀

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皇帝の禁忌と〈偽英雄〉計画

帝国は冥府の王クアトロの出現に対抗するため、

禁忌の魔法と偽英雄計画を密かに動かす

――帝国は、まだ負けを認めていない。


劫火公爵敗北の報、その翌日の夜。


帝都ヴァチカン。

玉座の間。


夜だというのに、天蓋の魔晶灯はすべて点灯していた。

闇を拒絶するかのように。


「報告は以上です」

老宰相サミールが一礼する。


黒炎。

冥府の王。

劫火公爵の消失。


どれも帝国にとってあってはならない報せ。


だが、皇帝の顔色は一切変わらない。


「……想定内だ」


その一言で、場の空気が凍った。


「陛下……?」


皇帝は指先で玉座の肘掛けを叩く。

カツ、カツ、と。


「帝国が真に恐れるべきは、冥府の王ではない」


誰かが息を呑む。


「正義が、秩序を疑い始める瞬間だ」


皇帝はゆっくりと立ち上がる。


「封印庫を開けよ」


「な……っ!」


サミールが声を上げかけて止まる。


「まさか……《黒水晶》を……?」


「そうだ」


皇帝は淡々と言い放った。


「帝国は今、見えない恐怖で秩序を失いかけている」


玉座の奥、壁が静かに割れる。

現れたのは巨大な魔法陣。


透明に見えるが、聖晶同盟の光とは決定的に違う。

そこには祈りも、救済もなかった。


ただ、貪欲にエネルギーを欲し

生き物の鼓動のように、脈打つ。


「……これは」


「《擬似聖晶炉》だ」


場がざわめく。


「聖晶同盟の光水晶を、帝国式に再構築したもの」


「実現不可能で放棄されたのでは……!」


「お前たちにはそう言った」


皇帝の声は冷え切っていた。


「冥府の王は復讐者だ。

 帝都を燃やすまで止まらんだろう」


「それは…」


皇帝は配下の言葉を遮る。


「復讐者は英雄にはなれぬ」


サミールが慎重に尋ねる。


「……何をなさるおつもりで?」


「英雄を、こちらで用意する」


背後の擬似聖晶炉が怪しく瞬く。


皇帝ドミノは唇を歪ませた。

慈悲深い仮面の微笑。


だが、目だけは笑っていない。

冷たく、すべてを量る視線。


空気が凍りついた。


「聖晶同盟の聖女は、今、負傷中だな」


「はい。毒沼で重傷を……」


「治せ」


「……陛下?」


「毒の扱いに長けた帝国が、

 最先端の医療魔術で治すのだ」


サミールは理解が追いつかない。

皇帝は何と戦おうとしているのか…。


「聖晶同盟の象徴を救い、

 帝国が正義を演じる」


「そうすれば――」


「冥府の王は、唯一の悪になる」


皇帝は魔法陣を見下ろす。


「起動には媒体が要る」


「……人、ですか?」


「英雄だ」


皇帝は迷わず告げる。


「候補は?」


「聖騎士フィン」


誰かが息を呑む。


「聖女ルミナを救い、正義に殉じる青年。

彼が帝国に光水晶をもたらす」


「奴は聖晶同盟の最高戦力です。差し出すとは思えません」

唯一皇帝に意見出来るサミールが翻意をうながした。


「案ずるな、聖騎士自らに来させればいい」


「光と闇の水晶。

 媒体に使えば、聖騎士と言えど生身。壊れます」


「構わん。

壊れるほど純粋でなければ切り札にはならん。

あの青年は、聖女を救うためなら喜んで壊れるだろう」


透明な光が部屋を不気味に照らす。

貴族たちの顔に影が落ちる。


皇帝が言葉を変える。


「風公爵ディアボルスは招集に応じるか?」


「……沈黙を保つでしょう」


「使えるな」


皇帝は初めて楽しげに笑った。


「竜騎士レインに、ディアボルスの名で伝達せよ。

フィンを帝国へ送れ、と」


「ディアボルスは裏切り者だと……?」


「それを試すのだ」


クアトロに起きた悲劇と同じ構図だが、今回は意図的。


皇帝ドミノは玉座に戻る。


「死に損なったクアトロ=フォルミア・デッドロット」


その声は静かで確信に満ちる。


「お前は復讐の物語を生きている」


「ならば、こちらが正義を演じよう」


疑似聖晶炉から起動音が漏れる。


「――どちらが世界に選ばれるか、

 試すのも一興。


 私は賭けにすべて勝ち続け、皇帝となった」


帝国はまだ負けを認めていない。

そして、この選択がフィンを地獄へ送る――。

帝国は正義を演じ、冥府の王に対抗する。

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