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四天王最弱だった俺、処刑されたら冥府で最強になってました  作者: ふりっぷ
第二章 地上で渦巻く陰謀

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カプリチェス消失! ――帝国が最弱を恐怖と呼んだ夜

最弱と嘲笑された男が冥府から甦り、恐怖として現れる。

帝国中枢に走る震えと、復讐の夜の幕開け

――勝利報告が、恐怖に変わる日。


帝国中枢、戦略評議院。


黒曜石の台座に、四公爵の紋章が並ぶ

――その内の一つがひび割れた。


劫火公爵カプリチェスの席。


「……報告を」


老宰相サルーミの声は、明らかに震えていた。


伝令が一歩進み出る。


「聖晶同盟、再侵攻を開始。

 先鋒は――聖騎士フィン」


「ふん、小僧か」


誰かが鼻で笑った。


「毒沼で一度痛い目を見ただろう。

 学習する頃合いだ」


だが、伝令の声は止まらない。


「――その聖騎士が、冥府の男と交戦」


空気が止まった。


「……冥府?」


伝令は唇を噛む。


「《腐食の黒炎》を行使する存在と」


椅子が軋む音。魔導長が立ち上がる。


「……馬鹿な。その魔炎は、

 劫火公爵のものではない!」


円卓にざわめきが走る。


別の伝令が駆け込む。


「緊急報告! カプリチェス領、

 公爵本人の魔力反応が――」


言葉が途切れる。


老宰相が眉を寄せる。嫌な予感が胸を締め付ける。


動揺を出さぬよう、無意識に円卓を掴み

指先が白くなるまで力を込めていた。


「……消失、か?」


「……はい」


沈黙。誰も声を出せない。


「確認された最終魔術は、《紅蓮の劫火・極》」


「聖晶同盟を寄せ付けなかった劫火だ。

 新たな英雄でも生まれたか…」

サミールは眉をひそめる。


「聖晶同盟ではございません!」


円卓がざわりと揺れる。


魔導長が冷や汗を拭う。


「……冥府に落とした腐死公爵の件はどうなっている?」


誰かが目を逸らした。


「……記録では、処刑済み」


「なら、誰が……」


そのとき、若い書記官が震える声で告げた。


「劫火公爵領では新たな領主の噂で持ちきりです


 ……一部では、夜になると

『冥府の王万歳』と唱える者が現れると」


「王?」


「はい。《冥府の王、クアトロ》」


――ざわっ。


誰もが、その名前を理解した。


「……クアトロ。

 抹消された名だ」


「……とっくに冥府で灰になっているはず」


誰も訂正せず、円卓は沈黙した。

自ら冥府に落ち、確かめようなどと思わない。


だが、最弱と嘲笑していた男が、

冥府から甦り、劫火すら喰らった。


次は誰の番か――。


ぞくりと。

円卓の誰もが、底知れぬ震えを感じていた。


冥府の闇がじわじわと地上に染み出していく感覚。

次に消える名が自分であるかも知れぬ。


「……冗談だろう?」


誰かが、乾いた笑いを漏らした。

だが、誰もそれに続かなかった。


責任の押し付け合いが始まる。


「ディアボルスは何をしている!」


「風公爵の領は沈黙中!」


「劫火公爵領からは報告なしだ!」


叫び声が重なり合うが

誰も核心に触れない。


――最弱を、冥府に落とした。


その結果が、今、地上に這い上がったのだ。


「……まずい」


サミールが声を絞り出す。


「帝国は、建国以来の危機に瀕しているかもしれん」


扉が静かに開く。


玉座の間に皇帝ドミノ・ルーメンが現れる。

黒を基調とした長衣に、宝石を縫い込んだ金の刺繍。


青灰色の瞳が威圧するように場を見渡し、

おもむろに口を開く。


「四天王を、集めろ」


誰かが恐る恐る尋ねる。


「……残り三名。一名はもはや敵です」


皇帝は肘をつき、冷静に告げる。


「何度も言わせるな。招集命令を出せ」


その目に炎はない。焦りでも怒りでもない

――あるのは、計算。


「クアトロは冥府の王を名乗り、劫火公爵領に留まっている。

ならば、奴が欲しいものを与えてやれ」


声は静かすぎた。


「毒沼と化した腐死公爵領、

 これから最前線となる劫火公爵領――


まさに、冥府帰りの男に相応しい領地だ」


周囲の貴族がざわめく。


「そのように軽々しく領土を割譲するものではありません」


皇帝は笑った。


「くっくっくっ、ならばお前達にくれてやろう」


広まる静寂の中、帝国全土で黒炎の報告が相次ぐ。


聖晶同盟を追い込んだ者たちの寄せ集め集団も、

内心見下していた帝国民も、


得体の知れない黒炎には不気味さを感じた。


「……冥府が地上に溢れたか」


誰かが呟く。


帝国が初めて理解する。


――これは反乱ではない。


――復讐の始まりだと。

勝利の報告が恐怖に変わる夜。

冥府帰りの最弱は、ただの脅威ではなく復讐の化身となる。

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