靴を拾う。
憎たらしいぐらいの青い空。
輝く太陽が私を照らす。
そのせいでぼさぼさの髪もぼろぼろの服もよく分かる。
あと底が擦り切れた100円のサンダル。
私が生まれてから12歳と6ヵ月と23分。
学校には行ってない。
両親は私が3歳の頃、私をおばあちゃんに預けてどこかに消えた。
腰が悪くてリウマチで車椅子に乗ったおばあちゃんに私を育てるのは無理だった。
だからおばあちゃんは私を養子として出した。
そして新しい両親のもとへと私は運ばれていったけど
私が9歳の夏に両親は事故で無くなった。
肉親ではなかったけれど、とても悲しかった。
私はおばあちゃんのところに戻ったけれど
おばあちゃんは私の事を覚えていなかった。
どうやらボケてしまったらしい。
私はまだ未成年だからおばあちゃんと暮らす事になった。
養子になる事も出来たけど、もうこの年齢では誰も引き取ってくれない。
年金だけの暮らしで私を十分に養えるはずがなかった。
だから私はこうして学校にも行けず、おばあちゃんの古着を着て
今、病院の前を通過する。
・・・どうやら青空は私が嫌いらしい。
私の頭に靴を落としてきた。
これがもっと固くて重い物だったら私は死んでいたかもしれない。
星印が着いた赤い靴。
まだ新品で・・・少し暖かかった。
私は次は人が落ちてくるんじゃないかと思ったけれど何も無かった。
でも何で靴なんて落ちてきたんだろうか。
とりあえず私はその靴を貰う事にした。
履いてみるとやや大きかったが、サンダルに比べればかなり良い。
心なしかおばあちゃんのこの赤い古いワンピースも少し映えて見える(気がする)。
ふと履いてから、この靴持ち主がどんな人なのか気になった。
もしかしたら靴が導いたのかもしれないけれど
私は何故か病院に吸い込まれるように入って行った。