戦争前夜
稚拙で申し訳ないです。
会議が好きな人っているかな。
たぶんいないと思う。
少なくとも私は好きじゃないよ。会議。
会議って基本、根回しが終わったことについて発表する時間だからね。
だから結論を会議で変えることなんてできないんだ。
まあ根回しが回ってくる人はいいんだ。意見を通せるから。根回しの時に。
ここで悲惨なのは根回しが回ってこない下っ端なんだよね。
会議に出た時点で賛成したって扱われちゃうんだ。
実際は意見なんて一切通らないのに。
ぼくは今、そんな会議の中にいる。
何がつらいって、実は根回しをしたのも私なんだ。
正確に言えばこの体のもとの主かな。
元の主の名はグロワスっていうんだ。
サンテネリ王グロワス13世。
グロワス君はフライシュ3世って人にあこがれてたんだ。
なにせ大陸の片隅にあった小国で軍を率いて連戦連勝。フライシュ大王なんて呼ばれてる。
かっこいいね。男の子ならだれでもあこがれるタイプだ。フリードリヒ大王みたいに。
ところがフライシュ大王はかわいそうなことにお隣エストブルグに攻められてるんだ。
シュバル公領ってとこを奪ったから。継承にいちゃもんつけて。
ぶっちゃけ自業自得だよね。これ。
けどぼくの口からは自業自得なんて口が裂けても言えない。
継承にいちゃもんつけた回数ならほかの国にダブルかトリプルスコアぐらいはつけてるからね。うちの国。
そして今から継承にいちゃもんつけようとしてるんだ。うちの国。やり方は違うけど。
うちは歴史ある国だからね。帝国の中にはうちの方が正統性あるんじゃないかって領邦もあるんだ。
そこの継承権を要求する。
するとそこの領主を守る。あるいは帝国にサンテネリの影響力が入り込むのを防ぐために、エストブルグはうちと戦わなきゃいけない。
けどエストブルグはプロザンと戦争中でね。うちと戦う余裕はないんだ。
うち一応大陸一の大国だし。
そんなわけで、エストブルグが無防備な腹を見せてるうちに戦争しようって話が出てきたんだ。
正確には出した。グロワス君が。
するとどうだろう。シュトロワ市民は大歓喜だ。新聞は会戦すべし1色。
じゃあ戦争すればいいじゃないって?
そういうわけにはいかない。金がないので。
それを知るためにはめちゃくちゃ苦労した。
なにせグロワス君、側近をイエスマンで固めちゃってたんだもの。
商工会議所青年部にいそうなキラキラ系な人たちね。
「エストブルグにサンテネリの威容を示してやりましょう」とかしか言わないの。
初めてこれはまずいぞと思ったのはバロワ伯とかデルロワズ候が陳情してきた時だね。
「金がない」って。
実際問題、平時に軍が金がないっていうこと自体は普通なんだ。平時にはただの金食い虫だし。
けど戦争中はあんまりそういうこと言わない。すべてのリソースが軍に突っ込まれるからね。
だから今、軍が金がないっていうのは異常なんだ。
つまりサンテネリのすべてのリソースを突っ込んでも軍に金が足りないってことね。
というか、そもそもバロワ伯とデルロワズ候が一緒に陳情してきたことも異常。
近衛と国軍っていういつもパイの取り合いしてる二者のトップがだよ。
グロワス君は二人を処分するかもしれないのに。
ぼくはしないよ。ありがたいことだからね。
グロワス君もたぶんできなかっただろうけど。
だって国軍と近衛って実質この2人の私兵なんだ。
そこに手を突っ込んだらグロワス君は「病死」していただろうからね。
だからぼくはこの戦争を止めなきゃいけない。
...どうやって?
ヒロインの5分の5に嫌われそうなルート。
少なくとも正妃ルートはつぶれてる。