25 久哉 片思い
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寿羽は美人ではあるがとびきり美人というわけではない。
寿羽の魅力は生命力が強くて可愛げがあって妙に目が惹きつけられるところだ。
一度目にしたら目が離せなくなる。
寿羽が入社してきたその日、俺の目は寿羽に惹きつけられた。
一目惚れに近かったかもしれない。その時に自覚はなかったが。
見た目は好みだった。だがまだ高校出たての子供だった。
見た目だけでなく中身も好ましいと思ったのはいつだったのか。長雨が続く頃だった気がする。
会社のイベントや少数で飲みに行ったりする関係が心地よかった。
全く意識されていないその他大勢だったけれど、見せる笑顔はとびきり可愛かった。
入社から1年経っても好ましいと思う感情は大きくなっていく。
夏が終わる頃には寿羽に恋していることを自覚した。
上司という立場は厄介なものでそこから一歩踏み出すことは難しかった。
寿羽がまだ18歳なのも躊躇する理由になった。
せめて先輩後輩の関係なら告白することを躊躇わなかったかもしれない。
しかし、躊躇っているほんの僅かな間に知らないどこかの男に持っていかれた。
若い恋なのだからその恋が敗れる時まで待てばいいと思っていた。
なのに寿羽は知らない男の妻になってしまった。挙げ句に仕事まで辞めてしまった。
想いを告げることもなく終わった恋だった。時折会社に顔を出した時に彼女に声を掛けられては、やはり好きだと何度も思った。
寿羽が結婚して3年経っても好きなままだった。
自分がこんなに一途に一人を想い続ける男だとは思いもしなかった。
誰かのものになってしまった女より、腕の中に囲える女のほうがいいじゃないかと何度も自分に言い聞かせたが、寿羽への想いは色褪せなかった。
そして、一通のメッセージで俺の人生が変わった。
{デスク用意してもらえますか?家城 寿羽}
家城と書かれていたことで遂に離婚したのだと思った。
今度は逃さないと決めて寿羽を特別に思っていることを隠すのを止めることにした。
直ぐに仕事の席を用意して、兄貴の家を紹介して物理的にも距離を詰めた。必要だろうと思う物を先回りして用意して手を差し伸べた。
寿羽にとって俺が無くてはならないものになるために必死になった。
付き合いたいと言うだけなのに、いつもタイミングが悪かった。
祖母が亡くなったと聞いてまた告白するタイミングを逃したと思った。
兄貴からマンションを買い取ったと聞いて呆然とした。
繋がりを一つ切られた気がした。寿羽に関しては本当にうまく行かない。
祖母が亡くなったにしては元気が良く、手作りの食事に誘われた。
告白しているのと変わらないのに直接的な言葉を濁したまま口づけた。
可愛く『酷いですよ。何も言わずにキスするなんて・・・』と言われて理性が飛んだ。
好きだと伝えると好きだと返事をもらった。
口づけただけで帰るつもりだった。
『やめないで・・・』と言われるまでは。
翌朝いつもよりゆっくり歩く後ろ姿に昨夜の寿羽の肌を思い出す。
長い片思いで飢えた心は寿羽を貪ってもまだ満たされない。
手の中にいる間だけ満たされて、手の中から抜け出されると不安になる。
また失うのではないかと。
手を伸ばせばすぐ届くところにいるのに、もう不安で仕方がない。今度は逃がしたりしない。絶対に。
会長に「婚約したい」と報告したのは婚約指輪を買って寿羽を家に送り届けてから自分の部屋に戻ったときだった。
会長に笑われ「寿羽が選んだ男だから儂は反対などせん。寿羽を幸せにしてやってくれ。話があるから一度一人で会いに来い」と言われた。
会長に反対されなかったことでその後、何の憂いもなく寿羽に婚約指輪をはめることができた。
寿羽は喜んでくれていたが、誰よりも喜んでいたのは俺だった。
会長と正月に会ったとき「寿羽と結婚するつもりがあるなら婿養子に来てもらわねばならん」と言われていたので名字が変わる覚悟はもうできている。
ただただ寿羽を1日でも早くこの手に入れたかった。
初めてキスをした瞬間から落ち着くどころか飢えは日に日に増していく。
抱いてもこの手からすり抜けてどこかに行ってしまうのではないかと不安に襲われる。
一度手に入れ損なったために餓える心を押さえきれない。
寿羽が晩御飯に誘ってくれるからそのまま寿羽を抱いて抱きしめて、眠たふりをして帰り損なうという流れを作った。
初めてキスをして拒絶されなかった瞬間から半同棲に持っていくことは俺の中で決まっていたから。
寿羽は嫌がりもせず俺を受け入れてくれた。次を楽しみにしていてくれた。
少し、いやかなりか。強引な俺に多少戸惑っているのかもしれないが、離れられないほど甘やかして俺に溺れて欲しかった。
婚約したら独占欲が少しは落ち着くかと思ったが、婚約だけでは俺は満足できなかった。
俺は寿羽が結婚できるようになったその日に籍だけでも入れるつもりだったが、会長に一人で会いに行った日に「慌てるな」と諌められた。
会長は寿羽の生い立ちを話し始めた。
兄貴が調べた話と大きく外れたところはなかったので、それ程驚くことはなかった。
父親はもしかしたら会長かもしれないが、本当のところは解らない。ということまで兄貴は調べていた。
そんな生い立ち程度で寿羽を嫌いになれたら、こんなに焦燥感に苛まれることはなかっただろう。
ただ会長の養女になっていることは知らなかった。
祖母が死んだその日に養女にしたと聞かされて納得した。
兄貴は養女の件を知っているのだろうか?知っていたら俺に連絡してくれるはずだから多分知らないのだろう。
寿羽と結婚するつもりなら会長の跡を継げと言われた。
それには数瞬答えに詰まった。
業種が全く違うのでやっていけるか自信がなかった。
俺のそんな迷いなど知っていながら知らぬ顔で「3月までに二人で屋敷に引っ越して来い」と言われて、俺はその話を喜んで受け入れた。
寿羽は仕事を辞めるのは嫌がるだろうなと思った。
仕事が好きで、社会と繋がっていたいと望んでいることは知っていたから。
だが俺の想像とは違って寿羽は仕事を辞めることも会長の庇護下に入ることも嫌がらなかった。
ただ俺を気遣っているようだった。
俺は俺の望みのままに寿羽を手に入れて、寿羽を逃さないために婿養子になるのだ。だから寿羽が気にかけることなど何もないのだが、俺はそれを伝えなかった。
結婚するまで負い目に感じてくれていれば俺以外に目を向けることはないだろう。そんな風に考えているくらいだった。
会長は寿羽を失うことを何よりも怖がっていた。俺と一緒だが失うという内容が俺とは全く違った。
生まれたときから目を離した瞬間、何度も殺されかけていたらその恐怖から逃れられなくなっても当たり前だと理解できた。
会長は寿羽が養女になったことが漏れた時点でまた寿羽の命の危険があるのではないかと怯えていた。
何も起こらない可能性も当然ある。だが寿羽の母親は何か事ある度に必ず寿羽を傷つけてきたらしい。そしてこれからも寿羽を傷つけるだろう。
それは絶対に許せないのだと会長は拳を握りしめて俺に話した。
寿羽を傷つけると思われるのは戸籍上の両親、兄姉、会長の弟、その子供三人とその子供たちだと言った。
会長の子供である康介は遺産放棄をしているが、心が壊れた人間に常識は通じない。懲りずに金に困ったら何度でもせびりに来ると会長は確信を持っていた。
「寿羽を儂の手元に置いたら康介一家は寿羽を傷つける行動に出るに決まっている。だから今までは寿羽と距離を取っていた。だが養女にしたことを知ったらどんな行動に出るか解らない。知らないところで傷つけられるくらいなら儂の手元で匿うことに決めたんだ」
強い眼差しで会長が俺に言った。
「だからお前も寿羽を守れ。守ってくれ」
そう会長に頼まれた。
今なお会長が寿羽の命の危険があると考える人生に驚きはしたが、寿羽を守ることは俺にとっても当然のことだ。その守る手を誰かに譲ったりはしないと心を固めた。
会長と二人、いや屋敷の皆と寿羽を守ると会長に誓った。
谷中さんから親族のことが細かく書かれた写真付きの書類が渡され、3月から会長に付いて回ることが俺の仕事になることに決まった。
会長と話が終わった後、兄のところに顔を出した。
兄貴は驚きもせず「家城の会長に会ってきたか?」と聞かれた。
俺は頷いて会長と話したことをかいつまんで話す。
寿羽のことを話すのはどうかと思ったが、兄貴はあらかた見当はつけているので、隠すことに意味を見出せなかったので正直に話した。
兄貴は寿羽が養女になっている事と寿羽の父親が遺産放棄をしている事は知らなかった。
まじまじと俺を見て「お前が家城の後継者か?」と聞いてきたので「そのようだ」と答えた。
「やれるのか?」
「努力はするが、まぁ、俺と寿羽の子供が引き継ぐまでのことだから無難にやってみる」
「二代目は・・・って言われるようなことがないようにしろよ。お前は俺の弟ってことでも持ち上げられているのだからな」
「解ってるがあまり大きな期待はやめてくれ。職種が畑違いなんだから」
「努力しろ」
「言われずとも」
会長の屋敷に移り住むと、寿羽は何もすることがないと情けない顔をしていた。
なのに寿羽は短い期間で「退屈だ、暇だ」と文句を言わなくなった。
なにか思うところがあったのかもしれない。
会長も寿羽に窮屈な思いをさせていると思っていたので、なるべく時間を作って寿羽を喜ばせる事に腐心していた。
屋敷の跳ね橋を上げているからか、康介、佐知江、達俊、歩美が会社に日参して来るようになった。
佐知江だけはどう判断しているのか解らないのだが、会長がいない日に会社にやって来ている。
みっともなく会長に「生活ができない」だとか「屋敷に戻りたい」とか「金をくれ」と言ってくる。
何をどう言っても結局は金をくれだ。三日も続いたら勘弁してくれと誰もが思うだろう。
会長は警察を呼んで不法侵入で逮捕させた。
しかし微罪処分であっさり釈放された。
それでも積み重ねが大事だからこれからは不法侵入されたら即警察に届け出ることを社員全員に通達した。
それでも古い社員の中には許して帰す者もいるだろうと会長はため息を吐いていた。
会社で不法侵入で問われたからか通り道で出待ちされるようになった。
車の前に飛び出してきてヒヤリとすることが何度もあった。
今度はつきまといと当たり屋行為で警察に通報した。
こちらは厳重注意で釈放された。
不法侵入とつきまとい、当たり屋行為で民事裁判を起こした。
たった15万円程受け取って弁護士を喜ばせただけの裁判だった。
それからもいたちごっこが続いた。
何かをされて警察に訴えて、一度は捕まって、釈放されて民事裁判を起こす。
すべて後手後手の対処しかできない。
苛立つ俺に「まだまだ若いな。今は我慢のときだ。積み重ねで罪は重くなっていく。寿羽に何も起きなければいいことだ」と言われて納得したが、それでも苛立ちは募る。
康介たちは一度に三人捕まることを嫌がり一人ずつ順番に会長のもとにやってくるようになった。
その度に仕事の手が止まるため、ため息が漏れて肩が落ちる。
会長はよくもこんな連中と長く付き合ってこれたものだと感心する。
もし会長がいなくなったら全て俺が対応しなければならないのだと思うと早くも挫けそうだった。
会長が親族だけに寿羽が養女になったこと、康介が遺産放棄したことを伝えた。
寿羽が養女になったことをどこからか知ると、達俊と歩美は自分たちも養子縁組してくれと騒ぐようになった。
騒がれて警察に届けてを繰り返していると警察も面倒くさそうに対処するようになってきた。
遠回しな言い方をしているが「110番で連絡してくるな」というようなことを言い出し始めた。
110番で通報されて対応しないと後々警察が槍玉に挙げられるので、地域の警察署の電話番号を教えられ、そこに連絡してほしいとのことだった。
こちらとしては対応してもらえなくなるのが困るので110番通報で対処してもらっていた。
康介たちも毎回警察に捕まるのが嫌になってきたのか俺たちの周りには顔を出さなくなった。
小さな効果だと喜んでいたら、その代わり屋敷の周りでうろうろするようになった。
跳ね橋を上げているので勝手に入りこまれることは早々ないと思うが、寿羽の周りをうろつかれるくらいなら会社や俺たちの周りで出没していてくれる方がまだよかったのだと思い知った。
屋敷の人間も康介たちがうろついていたら警察に通報して、康介たちが警察に注意される。そんなことを繰り返していた。
康介一家に関わっている者はみんなストレスを溜め込んでいた。
そしてとうとう寿羽の母親が屋敷に不法侵入した。
どういったつもりで不法侵入したのか解らなかった。いや、解っている。金だ。
だが会長から忌み嫌われ、許さないと言われているにも関わらず屋敷に忍び込む佐知江の異常さが恐ろしいと思った。
事情聴取で本当のことを話したとは限らないが、手切れ金として渡した金が底をつきかけていて寿羽を脅して、金を引き出そうとしたと自供したそうだ。
ついに前科がつく罰を与えることができた。
執行猶予がついたので実際に刑務所に入ることはなかったが、執行猶予中に新たな犯罪を起こしたら次は実刑になる。
俺は佐知江が再び犯罪を起こすのを心から望んだ。寿羽にさえ手を出さないのならどんな犯罪でもかまわない。早く、早くなにか犯罪を犯してくれ。
なのにそれから暫く康介一家は顔を出さなくなってしまった。
結婚式が目の前に近づいてきてやっと、本当にやっと、寿羽と結婚ができる日が目前に迫った。
結婚式のために母さん、弥生さん、子供たちと一緒に飛行機に乗る。
きっと誰にも俺のこの気持ちは解らないだろう。叫び出したいほどに嬉しい。
当然のように隣りにいる寿羽が愛おしくてしかたない。
ホテルではなんとなく結婚式が終わるまでは手を出してはいけない気がして胸に抱いて眠ろうとしたが、
すり寄ってくる寿羽が可愛くて結局愛し合ってしまった。
6月2日大安吉日。
長い片思いに今日ピリオドを打つことができる。
エレベーターから降りてきた寿羽は、ここが450mの高さだということを忘れさせるほど綺麗で輝いていた。
会長から寿羽を受け取って2度と手放さない。手放せないと思った。
俺も震えていたが寿羽はもっと震えていた。
この手を二度と手放さない。握りしめた手はいつの間にか震えが止まり、指輪をはめて、はめられた。
そして婚姻届にサインをして急いで休日の区役所に婚姻届を提出した。
寿羽をやっと手に入れた。
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子供どうする?
寿羽と2階のお風呂に一緒に入る。
屋敷に来てからは流石に一緒にお風呂に入ることは控えていたが今日からは遠慮しない。
会長のことが気になるのか、それとも久しぶりだからなのか、恥ずかしそうにしている寿羽が可愛い。
初めて一緒にお風呂に入ったときもこんな風に恥ずかしがっていた。
優しい手つきで頭を洗ってくれる。俺も頭を洗ってやりたいが、女性の髪をどう扱っていいか解らないので湯船に浸かってその姿を眺める。
寿羽に背中を洗ってもらって俺も寿羽の背中を洗う。
泡を流して一緒に湯船に浸かる。少しぬるめのお湯にゆっくりと。
寿羽の気持ちよさそうな顔を見て俺も満足する。
時折いたずらすると気持ちよさそうに受け入れる。
その先に進みたくなるとはぐらかされる。
体を拭いてバスローブを着る。
髪を乾かすのを手伝って、寿羽の部屋の布団の上に押し倒した。
結婚式の翌日は休みをもらっているので自然に目覚めるに任せる。
寿羽のほうが先に目覚めて身動いた。
小さなキスが落とされ俺の腕の中から抜け出ていく。
時計を見たらいつもの時間で俺も起きようと考えたのに、次に目を覚ましたら昼少し前だった。
寿羽は隣に寝転がってイヤホンで何かを聴きながら本を読んでいた。
「おはよう」
「おはよう」
キスを一つ送ると深くなってしまう。
「あまり時間ないよ。もうじきお昼ご飯」
「解った」
深いキスを楽しんで寿羽と二人で満足した。
昼食の用意が座卓の上に並べられる。
昨日の夕食と同様いつもより豪華だ。
結婚祝いはまだ続いているのだと感じる。
寿羽にご飯をよそってもらって手を合わせる。
「いただきます」
寿羽も同じように手を合わせている。
美世さんたちは遠慮しているのか顔を出さない。
その事に感謝して誰がみてもイチャイチャしていると言われる食事を終えて、先月の月末に完成していた家を二人で見に行く。
俺の身長に合わせて天井も高い。
頭を下げなくていいから楽でいい。
つっかけを脱いで空っぽの家の中を見て回る。
「代田さんたちが掃除をしてくれたみたいなの」
「そうか。何か礼をしなくちゃな」
俺や会長がいない間、寿羽を守っているのはこの屋敷で働いている人たちだ。
一度本当にちゃんとした礼をしなくてはならない。
広いダイニングキッチンに動線で区切られたように見えるリビング。
陽の光が眩しいほどに入ってきて明かりがなくても薄暗いところはない。
12畳の和室が二間続いた部屋がある。
大きな押し入れが付いていて、和室の隣には独立した物置がある。
手前にトイレが付いていて、奥に大きなはめ殺しの窓がついたゆったりとした風呂。窓の向こうには春に花見をした枝垂れ桜が見える。来年の春が今から楽しみだ。
寿羽はお風呂に入ると時間を忘れる傾向があるので長湯には気をつけないといけない。
会長が来年の春には夜桜を楽しめるように桜をライトアップさせると言っていた。
寿羽のために桜を増やすか、季節ごとに楽しめるように梅と桃を植えるかと頭を悩ませていた。
幅広の階段は二人並んで登ることができる。登りきった正面にトイレとシャワー室がある。
階段を挟んで左右に別れていて右側の階段に近い部屋が寿羽の部屋で、真ん中が寝室。その奥が俺の部屋になっている。3つの部屋は繋がっている。
クローゼットが1部屋と言ってもいいほど大きく取られてる。
会長は寿羽をデパートに連れて行って馬鹿みたいに買い物するつもりなのだろう。
階段の左側には子供部屋が3つ並んでいる。
披露宴が終わったら直ぐに子供を作るか、暫くは二人を楽しむか悩みどころだ。
寿羽を縛るには子供は良い手段だが、俺と寿羽の邪魔をされるのは嫌だ思ってしまう。
「寿羽」
「うん?」
「子供、どうしたい?」
「久哉さんが30になるまでは二人でいいかなって思ってる。でもお父様は早く孫・・・に会いたいと思っていることは理解しているの」
「そうか」
寿羽が二人の時間を大事に思ってくれていることが嬉しい。
「久哉さんはどう思っているの?」
「俺も同じように考えている。寿羽と一生二人でもいいけど、会長は早く子供の顔がみたいだろうな」
「じゃぁ、久哉さんが29歳になるまで二人の時間を楽しみましょう。その時また考えよう」
「まぁ、少し気をつけながら自然に任せてもいいかなとも思っている」
「そうね」
リビングでごろんと横になって寿羽を腕に抱く。
「ちょっと日当たり良すぎないか?」
「ふふっ、そうねレースのカーテンが必要ね」
この家で最初のキスをした。
450階を450mに訂正しました。
調べが足りず申し訳ありません……(;^_^A




