第3章 試練(2)力の差
レイは、キラとオルスの協力により魔法の種類が増えた。
回復魔法が使えるようになったのだ。
そして、剣技もかなり使えるようになった。
しかし、軽い武器しか持てないため殆ど護身用である。
そして、一通りの目処が付くと、ショウレツ諸島へ正規軍の合流を図るため出発した。
目的地までは船で8時間、出発したときは早朝だったのに着く頃には日も暮れかけていた。
遠くで何か大きな煙がたくさん上がっている。
レイは戦闘が起こっている事を察知した。
皆も気が付いたのか船の速度が上がり始めた。
もう少しで岸に着くというところで、黒い人影が2つ。海水と炎の攻撃を仕掛けてきた。
とっさのところでレイとキラ、オルスは船から陸地へ飛んだが、振り返って船を見ると煙を上げて炎上し、大勢の仲間達は海に投げ出され沈んでいた。
夕日が二人を照らすと、そこにはウッド将軍となぜか、シュウがいた。
シュウは見た事のある貞操帯と黒い胸当てをしている。
雰囲気が違うが面影はシュウである。
レイはシュウに呼びかけた。
「シュウどうしたの?正気?」
しかし、シュウは初対面のように無表情だ。
ウッドはWOOに命令した。
「残党を倒してこい!」
「はい!ご主人様。」
言うが早いか3人に向かって海水が襲い掛かってきた。
レイは必死に防御しながら説得する。
「お願い!元に戻って。あなたは私の命の恩人でしょ。元に戻ってよ!出ないと私も戦わなければいけない」
シュウは聞こえていないのか、それとも操られているのか全く攻撃をゆるめない。それどころか激しくなってきている。
「死ね!!!!!!!」
WOOの声と共に海水が大きなうねりとなって槍のようになり、3人に襲い掛かってきた。
もうだめだと目を閉じると、オルスが話し掛けてきた。
「諦めちゃだめだよ」
オルスは二人の姿に幻覚をかけた。おかげでレイとキラは助かったが、オルスは逃げ切れず攻撃を受けてしまう。
キラは植物によってオルスを救出し、手当てをしようとしたがすでに手後れだった。小さな体が手当が出来ないほどにちぎれていたのだ。
「兄貴、御免よこんなドジな弟で。兄貴は・・・お姉さんと逃げて・・・・」
キラはオルスを抱きしめ叫ぶ。
「オルスーーーーーーーーーーーー」
オルスを亡くしたキラはとっさにWOOへ攻撃を仕掛けた。
「おらーーーーーーーーーーーーー!」
周りの植物がキラの気に呼応するように動き始めWOOを取り囲んだ。WOOは少し笑みを浮かべ上空に雷を呼んだ。
上空より生じた電撃は植物を焼き払い、キラへ向かった。
しかし、一瞬早くキラは残像を残してWOOの背後に回った。
キラはWOOを羽交い締めにしようとしているが、暴れているため容易ではない。
レイはその隙にウッド将軍へ攻撃を仕掛けた。
この人を倒せばシュウは元に戻るかも知れないと思ったからだ。
レイはウッドに叫んだ。
「覚悟!!!!」
ウッドはそれに気づいて風のように避ける。
「来い!小娘」
レイは風を纏って剣で攻撃した。ウッドはそれに答えるように巨大な炎を纏って剣で迎えた。
しかし、剣術は向こうの方が上で、徐々に押され始めた。
押しきられてしまえばウッドの炎の剣にやられてしまう。
それならばとレイは風で水を巻き上げて反撃した。
なんとか互角になったがウッドはまだまだ余力を残している。
ここでもたもたしていると、どんな技が繰り広げられるか解らない。
レイは持っている剣を風と水の力を合わせて、ウッドへ飛ばした。
短剣が当る瞬間、ウッドの姿が陽炎のように消えWOOといれ変わった。
剣は彼女の腹部を貫き地面に倒れた。
ウッドはレイに話す。
「なかなか凄い技だな。しかし当たらなければ意味が無い。又会おう」
そう言ってレイの背後に現れたかと思うと消えていった。