第1章 奴隷(2)逃亡
ごん!!!!!
レイは激しい痛みで飛び起きた。兵士が殴ったのだ。
「起きろ!改造の時間だ!」
レイは、ほかの少女達と処理室へ連れていかれた。
処理室に着くと、服を全て脱ぐように命令される。
そして前回溶かされた少女達のように手首に鉄製の輪を付けられ、天井から伸びているワイヤーに繋がれた。
横を見ると隣にはシュウがいた。彼女は必死に隙を探している。水さえあれば少なくても今のこの状況から逃げ出せるのだ。
レイにもきっかけさえあれば逃げられるのだが、そのきっかけが何なのか解らない。
以前のように床から機械の手が出てきて少女達の腰を固定し、今度は前後に棒が付いた貞操帯が出てきた。それが一斉に少女達の二つの穴に挿入される。少女達は苦渋の声を出しながら悲鳴を上げず耐えている。シュウはその状況にも耐えながらも水を探している。次にその貞操帯に太いパイプが接続された。そして、前後の挿入された棒から液体が注入されたのだ。レイはもうダメだと思った。
しかし、液体は下腹部が少し膨らむ程度注入したかと思うとすぐに排出させられる。それが見て分かるように下腹部が自分の意思とは関係なく膨らんだり凹むのだ。時間が経過しても体の中は溶けない。そこへ博士がやってきた。
「体内の清掃は終わったか?」
兵士が答える。
「後二時間ぐらいで終了します」
「売り物にはくれぐれも傷を付けるなよ」
「承知しました」
レイは、その会話で自分の立場が分かった。自分達は売り物だったのだ!
二時間ぐらい経ったのだろうか。兵士達があわたただしくなる。
兵士が号令をかける。
「清掃終わり!栄養物注入!」
そう言うとお腹の中にたくさんの液体が流れ込んできた。お腹が妊婦のようになると兵士はまた号令をかけた。
「栄養物注入終了!、調教モード!」
「ピピピピピピピピピピピピピ」
処理室内にベルが響き、兵士達は全員退室する。
誰もいなくなったが、とても動ける状況じゃない。黙っているしかない。シュウはまだ目を瞑ったまま考えている。そうここには水らしいものはない。(待てよ)レイは、とんでもない事を思い付いた。しかし、シュウに言うべきか迷った。何故ならそれは今、注入された液体を使うからだ。もしも腹が破裂してしまっては元も子も無い。そうするとシュウが話し掛けてきた。
「何か思い付いたか?」
レイは首を横に振り答えた。
「そうか、俺は思い付いたんだけど踏ん切りが付かなくてな・・・」
「どういう方法?」
「この注入されている液体を使う」
レイは同じ事をシュウが考えたこと知ると反対しようとしたが、シュウが何故踏ん切り付かない理由を話し始め、言うのを止めた。まるっきり同じ事を考えていたのだ。そのまま二人黙ってしまった。
「ピッピッピッピッピ」
ベルが鳴った。鳴り終わると同時に挿入されている棒から冷たい液体が少しずづ注入され、棒がゆっくり中をかき回すように動き始めた。数分たつと少女達は顔を赤く染め喘ぎ始める。それはレイやシュウも同様だった。
「これは・・・何なのよ・・・」
「は・・ん!・・こうやって欲情させて、おかしくさせて売り物にするんだろ!」
シュウは決断した。
「く・・このままじゃおかしくなっちまうのは時間の問題だ。一か八かやってみる」
そう言うと、ありったけの気を集めだした。
「やめて!死んでしまうかもしれない!!!」
シュウは気が溜まったのか奇声を上げた。
シュウの声を聞いてレイが叫ぶ。
「やめてー!!!」
するとシュウの下腹部がどんどん膨らんできた。レイやシュウの考えた通りだった。でも、シュウを見殺しにするわけにはいかない。レイは祈った。
「お願いシュウを助けて!!!!」
レイは必死に祈った。みるみるうちにレイの髪に結んでいたリボンが赤い光を放ちシュウの腕輪に吸い込まれていった。すると膨らんだ下腹部から煙が滲み出て、部屋中を真っ白にした。この異変は周りの兵士や作業員にも発見され処理室に集まってくる。
ウッドが騒ぎに気づき博士にたずねる。
「何だこれは!?」
「いえちょっとしたトラブルです。すぐ直ります」
「早く直してくれよ。遅れると買い手がごねるからな!」
「承知しております」
ウッドはそう言うと足早に処理室から立ち去った。
兵士が博士に報告した。
「博士、原因が分かりました。調教中の女の一人です」
「はて?機械が故障したかな?まあいいその女は始末して調教を続けろ!」
「承知しました」
兵士は息も絶え絶えのシュウに近寄り銃口を向けた。
「バーーーン!!」
シュウは殺されてしまった。
そう思ったレイは、そのまま気を失ってしまった。