6ー2
ナナと二人だけで遠出をしたのは、これが初めて。
ヒグラシが鳴いていた。時計をしてこなかったのは、正解だった。時間から解放された幸せを感じる。
川のせせらぎ……。
懐かしい記憶が、フワッと戻ってきそうな。そんなどこか切なくなる場所。
ゆっくりと目を開けた。
「……ナナ?」
「もうっ!! 無茶しないでよ」
どうやら、今まで気絶していたらしい。
ナナは、子猫のように僕に体を密着させている。
「川に沈んだナナを助けようとして……僕も川に入って……。うん?その後が……」
「私はただ、川底のカニさんを見てただけだよ。溺れたって勘違いして、逆に溺れたのは、ナオだし。泳げないくせにさ~。ほんっと、困ったちゃんだね」
「あぁ……。そうだったんだ。そっか……。助けようとして逆に助けられたのか。はぁ~情けない」
「体は、大丈夫?」
「大丈夫だよ。ありがとう」
「………良かった」
両腕で、小さなナナの体を抱き寄せる。
「ひぃぃぃっ!?」
「……………」
驚いている。頬と耳は、真っ赤だった。
ナナの体からは、甘い香りが……。頭が、クラクラする。僕って、匂いフェチなのかな。
急に辺りが静かになり、ヒグラシが僕達に遠慮しているみたいだった。
僕が計画したお出かけプランが、ナナに速攻で却下され、急遽、遊園地から名水巡りに変更になった。
短気で狂暴。ワガママなところも多いけど。
自分の分身のように大切な、とっても可愛い彼女ができた。
チュッ…。
『好きだよ、ナナ』
チュッ。チュッ。
『私も大好き』
『これからも一緒だからね』
『うえっへへへ~~』
『……笑い方、なんかキモッ』
ゴッ!!
『痛っあぁあ!!!!』




