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この子の腕を思いきり掴んだ。
「いっ……て……」
「!!!?」
すぐに腕を離した。離したこの子の腕からは、血が流れている。私の爪が、腕に刺さって傷がついた。
「あっ……あっ……あ………」
傷つけてしまった。一番大切な人を。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
どうしようーーーーーーー
「大丈夫だから。泣かないで」
「っ!!!」
男の子は持っていた自分のハンカチで傷口を押さえると、私にそう言った。
心に甘いシロップをかけられているような。そんな、ふわふわした気持ちになった。
やっぱり好き。
死ぬほど、あなたのことが。大好き。
私はしばらく黙って、この男の子の一人遊びを見ていた。
『僕は、ナオ。君の名前は?』
『………ナナ…です…。えっ………と。私と……友達になって』
『うん。今日から僕たちは、友達だよ』
これは、私の命より大切な記憶です。




