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噂。
「また出たんだってよ。誘拐魔」
「え~、今度はどこよ」
「金糸町のさ、私立学校の生徒らしいんだけど。また一人消えたんだって」
「はぁ? この近くじゃん。シャレになんねぇな、それ」
「だよねぇ~、私のママも心配してさ。早く帰ってこいってうるさいんだ。部活だってまともに出来ないよ、これじゃあ。大会近いってのに……」
「気持ち悪いよな、ほんと。変態の仕業だろ。そんな奴、私の竹刀でボコボコにしてやるのによ。殺しても正当防衛だろ、そんな奴は」
「ハハ、やりすぎ。……あっ」
一限のチャイムの音が、学校中に鳴り響く。すると生徒の声も次第に萎んでいき、担任が教室に入る頃には、皆自分達の席についていた。
…………………。
……………。
………。
教師の仮面を外し、ただの男へ。
早めの帰宅。妻が待つ僕の小さな城。
「ただいま」
「おかえりなさい」
はぁ~。誰かが家で待っているだけで、こんなにも安らぐ。
夕飯時。自分の食べかけの皿を見るとハンバーグが一つ増えていた。妻(霊華)が、自分の分のハンバーグを僕の皿に移したみたいだ。




