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2ー4
「男は、教師。その妻は、元教師。これは、そんな夫婦の話。二人は、とある港町で静かに暮らしていたんだ。幸せだったと思う。決して豊かではなかったけど、それでも二人は愛し合っていたし、何よりお互いを必要としていた。相手のことを自分の分身のように感じていたんだと思う」
「なんか、理想的な夫婦だね」
「うん。でもこの話は、悲しいの。とっても」
「悲しい? なんで」
僕は、戸惑っていた。ナナの顔は、本当に悲しそうで。こんな寂しそうなナナの顔を見たのは、初めてだったから。ここにいるナナが、別人に思えたぐらいだ。
話の続きを聞くのを少し躊躇った。
「あの」
「ナオには、最後までこの話を聞いてもらいたいんだ。だって、これは」
えっ? 今なんて言ったの、ナナ。もう一度言ってよ。
これはーーーー
アナタの話なんだから。




