表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第4回活動報告:不正融資を取り締まれ
80/294

個人投資家(その2)

(6) 個人投資家 <続き>


俺は書類偽造の件をディーンに聞くことにした。


「段階的に増やしていったのですね。ところで、『レンソイス不動産がローン申請書類で虚偽の情報を書いて銀行に提出している』という情報を入手しています。実際に書類の偽造はありましたか?」と俺はディーンに質問した。


ディーンは正直に答えて良いのか迷っていたようだが、話を始めた。


「偽造はありました。でも、最初から偽造していたわけではありません」


「いつから偽造するようになったのですか?」と俺は聞いた。


「7件目までは私の所得金額をローン申請書類にそのまま記載していました。8件目を取得する際に『今の所得水準だとローン審査に落ちるかもしれない』とリードに言われました。7件のLシリーズの取得で1億JDの借入がありましたから」


「偽造の提案があったんですね?」


「はい。リードからローン申請書類に記載する年収を3,000万JDにすることを提案されました」


JDジャービス・ドルはジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円としています。


どうやら『レンソイス不動産が書類の偽造を顧客に勧めている』という情報は正しいようだ。

俺は収入証明などについてディーンに聞くことにした。


「それでは、10件中3件が虚偽情報でローン審査書類を提出したという状況ですね。

それにしても、ローン審査時には収入証明を一緒に提出すると思います。源泉徴収票はどうしたのですか?」


「リードは『業者に連絡すれば手配してくれる』と言って、業者の電話番号を私に伝えました。その電話番号に私が連絡したら、翌日、年収3,000万JDの源泉徴収票が自宅に届きました」


「仕事が早いですね。ところで、書類の偽造をした業者の担当者は分かりますか?」


「私が電話した時に担当者はジョンと名乗っていました。でも、本名なのかどうかは分かりません。リードからはジョンの携帯電話の番号だけ伝えられたので、私はジョンの住所も会社名も知りません」


レンソイス不動産のリードとは違って、直接犯罪に加担しているからのだから、きっとジョンは偽名だろう。


「分かりました。それで、ジョンとはどういうやり取りをしたのですか?」と俺は聞いた。


「『レンソイス不動産からの紹介で』と言ったら、ジョンは電話口で直ぐに私の源泉徴収票の作成に取り掛かかりました。特に雑談や質問する暇はありませんでした」

ディーンはそう言うと、ジョンの携帯電話の番号のメモを俺たちに見せた。


「この携帯番号ですか」と俺はメモをガブリエルに渡した。


ガブリエルはその番号に電話を掛けた。


「もう使われていない番号のようです。解約したのでしょうね。総務省に戻った後、契約情報を調べてみます」とガブリエルは言った。


「そうしよう。それにしても、虚偽の情報でローン審査書類を作成することや、源泉徴収票を偽造するのは犯罪だと思わなかったのですか?」と俺はディーンに聞いた。


「良くないことだとは思いましたが、リードは『みんなやっている』と言っていました。私はみんな偽造しているのであれば問題ないと考えたと思います」


「そういう感覚ですか。まぁ、今となっては、銀行の借入も完済していますから、書類偽造による損害賠償は発生しませんけどね」


「それを聞いて安心しました」


ディーンは書類偽造で逮捕されると思っていたのだろうか?

俺の言葉を聞いて安心したようだ。


「ところで、前段が長くなってしまいましたが、譲渡担保と不動産売却に至った流れを教えてもらえますか?」と俺はディーンに本題を聞くことにした。


長々と喋ってしまったので、まだまだヒアリングすべき事項が残っている。


幾つか有益な情報を得られたし、まあいいか。


<続く>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ