表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第3回活動報告:投資詐欺から高齢者を守れ
68/294

<閑話>ポールの解説:第3回活動報告

※ここでは、本章で登場した用語についての解説をしています。本文の内容には関係が無いため、必要がない人は読み飛ばして、次に進んでください。



<閑話>ポールの解説


僕の名前はポール。今は総務省の内部調査部で働いている。家族構成は、妻と子供が一人だ。

内部調査部の前は、第13穀物倉庫の購買部で働いていた。その前は、ホラント証券という証券会社。


第13穀物倉庫で働いていた時に同僚のロイが起こした問題で解雇された。だけど、ダニエル部長のおかげで、内部調査部に就職できた。住宅ローンもあるから、助かっている。

ただ、ここでの業務はなかなか難しい。思った通りに進まないし、方針が急に変更される。柔軟性が試されているようだ。


初めの案件では、部長の思いつきでサンマーティン国から銅を輸入させられた。あの時は輸入関係の書類やデリバリーが大変だった。今回の案件でも、社債の買取りをしたけど、売買契約の締結、資金決済、証券会社への報告など、事務作業が大量に発生した。

良い言い方をすれば刺激的、悪い言い方をすれば無計画、と言えるだろう。


ところで、今回の案件では、普通社債や劣後社債といった社債の話がメインだった。よく分からなかった人のために、僕から少し説明しようと思う。知っている人は、読み飛ばしてもらって構わないよ。



まず、ファンドや会社が資金調達をするときには、発行する対象を幾つか分ける場合がある。この幾つかに分けることを優先劣後構造というのだけど、図表3-2のようなイメージだ。


【図表3-2:優先劣後構造】

挿絵(By みてみん)



ちなみに、専門的な言い方をすれば、優先劣後構造を設けることをトランチング(Tranching)といって、各部分をトランシェ(Tranche)というんだ。


これは、投資家によってリスク・リターンの選好が異なるため、それぞれの資金調達先に応じたファイナンスを行う必要があるからだ。

今回の件では、安全に資金運用したい機関投資家が普通社債を買っていて、高利回り運用をしたい個人投資家が劣後社債を買っていたと思う。期待するリスク・リターンが違う投資家に販売するために、商品を分けるのが目的だ。


ちなみに、一般的にどのトランシェかを示すには、図表3-2のカッコ書きに書いてある、シニア、メザニン、エクイティという用語を使う。


念のために用語の説明をしておくと、「シニア(Senior)」は、通常の貸付や社債のことだ。金銭消費貸借契約や社債の発行要項に従って、『いつ・いくら支払う』というものが契約上定められている。


次に、「メザニン(Mezzanine)」は「中二階」という意味だ。「シニア」と「エクイティ」の間にあることから利用されている用語だ。「サブトランシェ」や「ジュニアトランシェ」などと言う場合もある。


「エクイティ(Equity)」は、株式や出資金のことだ。法的な債務ではないため、シニアやメザニンのように返済する契約にはなっていないから、返済順位が他の2つよりも劣後するんだ。


もう少し詳しく知りたい人は、こちらの本を見て下さい。


・金融マンのための実践ファイナンス講座

https://www.amazon.co.jp/dp/4502402214/



第3話についての僕から説明は以上で終わり。

第4話は不動産関連の話だから、他のメンバーが説明すると思う。良かったら見て下さい。


<終わり>


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ