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第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第3回活動報告:投資詐欺から高齢者を守れ
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本当に調査する?(その2)

(2)本当に調査する? <続き>


既に過半数を超えたから、内部調査部のメンバーの意見は『調査すべき』のようだ。


俺自身は調査しなくていいと思っていたのだが、メンバーの意見を尊重して、しかたなく調査する方向に切り替えた。


ただ、解決が難しい事件をやみくもに調べても仕方ない。効率的に調査するために、予め調査事項を絞っておいた方が良さそうだ。


「調査すべき、との意見だね。ただ、調査を行っても解決が難しいかもしれないし、内部調査部の人数も限られているから、ポイントを絞って実施しようと思う。いいかな?」と俺はメンバーに聞いた。


みんな頷いているから、異論は無いようだ。


「まず、具体的な調査対象は、イベント会社と運用会社の2つだ。ここからは、それぞれ手分けして情報を集めて行こうと思う」と俺が言うと、ルイーズが「ちょっといい?」と発言した。


「どうかした?」


「ロドリゲスから聞いた情報をもとに調査を開始しようとしているけど、私はロドリゲスの情報の信憑性は高くないと思ってる」


確かにそうだ。ロドリゲスの会話の語尾はほとんどが「思う」だったから、俺たちの質問に推測で回答していた。


「ロドリゲス本人が社債購入したわけではないし、ロドリゲスが話した内容は母親から聞いた話。母親も金融商品の専門家じゃないから、誤解している部分があると思う」


「その可能性はあるね」と俺は言った。


「だから、別の社債保有者にも、話を聞くべきじゃないかな?」


「そうかもしれない。イベント会社と運用会社の調査を開始するのは、信頼できる情報を入手した後の方がいいか」


「そう思う。あと、ロドリゲスは親メンバーが60%で買い取った後、申請すれば運用会社が70%で買い取ってくれる、と言っていた。グループ管理方法のマニュアルが入手できれば、役に立つと思う」とルイーズが言う。


俺は、めずらしくルイーズがまともな意見を言ったような気がしたので、「今日は鋭いね」とルイーズに言った。


「別に。私が気に入らないのは、ボサボサ頭のパーカーで出てきて、いい加減な話をしてきた奴が、許せないのよ」


「え?」


「だって、10万JDをゲットするために、いい加減な又聞きの話をするゴミでしょ」


俺はやっと理解した。ルイーズは、「情報が間違っていた」と難癖を付けてロドリゲスに10万JDを払いたくないようだ。


動機はともかく、ルイーズの別の人から話を聞くというのは、悪い案ではない。

俺は、信頼性のある情報確保を進めることにした。


「そう言えば、ミゲルは、ターニャが社債の話をしていたと言っていたよね?」


「ええ。ターニャから聞いたことがあります」とミゲルが答えた。


「じゃあ、ターニャに誰か親メンバーを紹介してもらって、イベント会社の戦略を調べてもらえないかな?」と俺はミゲルに聞いた。


「大丈夫です」とミゲルは言った。


「一人だと大変だろうから、ターニャと面識があるミゲル、ガブリエル、ロイで聞いてもらえるかな?」と俺は言った。


「分かりました。ターニャに連絡をとって進めます」とミゲルは言った。


「それと、3人にはイベント会社の状況調査と同時並行で、社債の発行要項をできる限り集めてほしい。ロドリゲスから社債の発行要項を幾つかコピーしてもらったけど、全部同じかどうかが分からない。運用会社に直接確認する前に、内容を把握しておいた方がいいと思う。集めた社債の発行条件は、ルイーズとスミスでまとめてほしい」と俺はメンバーに指示をした。


「それとは別に、ポールには業界情報を探ってもらえないかな?」と俺はポールに言った。


「それは構いませんけど、どうしてですか?」とポールは俺に質問した。


「ホラント証券の元同僚に聞いたら、業界内での評判も分かると思うんだ。もし、この社債が詐欺まがいの商品だったら、業界内で広まっているはずだから」と俺は理由を説明した。


「そういうことですか。分かりました」とポールは言った。


こうして、俺たちはイベント会社と運用会社の調査を開始するための、事前調査段階に突入した。


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