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第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第10回活動報告:借地権の争いを解決しろ!
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<閑話>ガブリエルの解説:第10回活動報告

※ここでは、本章で登場した用語について解説しています。本文の内容には関係が無いため、必要がない人は読み飛ばしてください。 


<閑話>ガブリエルの解説:第10回活動報告


 ガブリエルです。第10回活動報告では、借地権に絡んだ借地権者と底地権者の争いを中心に物語が展開されていました。


 本文で登場したように、土地の価格は更地が最も高く、建付地、底地の順番に価格が低くなっていきます。特に、借地権(賃借権)が存在する底地は建付地価格からの減価が激しいことが特徴といえるでしょう。底地から借地権が消滅して建付地となるか、借地権者が底地を購入して建付地となると、大幅な価格の増価が見られます。


 第10回活動報告は土地の形態による価格変化が話の中心でしたが、同様の事象は建物でも発生します。例を挙げると、実需物件と投資物件です。


 実需物件とは自分で住むための不動産物件です。『マイホーム』と言えば分かり易いでしょう。投資物件は賃借人からの賃料収入を目的に取得する不動産物件です。第4回活動報告で登場した投資用不動産のLシリーズのようなものです。


 実需物件は自分で住むために購入するため、購入者は住みやすさ、子供が通う学区などを取得価額よりも重視する傾向があります。投資物件は投資利回りが最重要なので、取得価額は物件購入の際の重要な判断事項です。


 実需物件と投資物件の価格がどのように違うかを見てみましょう。

 ここでは説明の都合上、東京都内のファミリー向けコンドミニアム(マンション)を例にします(図表10-19)。


【図表10-19:実需物件と投資物件の比較】


挿絵(By みてみん)


※上記の年間利回りはグロス利回りを表示しています。



 まず、実需物件マイホームとして70㎡のコンドミニアムを購入する場合、新築物件、築浅の中古物件であれば1億円近い価格で売り出されます。ここでは物件価格を9,000万円としています。

 この物件を第三者に貸し出す場合、月額賃料は約25万円です。

 年間賃料は300万円(=25万円×12カ月)だから、実需物件の賃貸投資利回り(年率)は3.3%(=300万円÷9,000万円)です。


 次に、投資物件として購入する場合、場所や築年数によって投資利回りが変動します。周辺相場から投資利回り(年率)が5%とした場合、不動産価格は6,000万円(=300万円÷5%)です。つまり、投資家はこの投資物件を6,000万円で購入します。


 つまり、同じ物件であっても、実需物件マイホームとして購入する場合は9,000万円、投資物件として購入する場合は6,000万円です。実に3,000万円も差が生じます。


 底地は第三者に土地を利用できる権利(借地権)が発生したことによって、土地の価格に大幅な減価が生じました。

 ファミリー向けコンドミニアム(マンション)においても、第三者が部屋を利用できる権利(借家権)が発生することによって、建物の価格に大幅な減価が生じるのです。


 不動産会社はこの特性を利用して、賃借人がいる投資物件を購入し(オーナーチェンジ)、賃借人との賃貸借契約終了後に実需物件マイホームとして個人に売却する手法で利益を稼いでいます。実際には、賃借人が退去後にリノベーションを行って、見栄えを良くした後、個人に実需物件マイホームとして売却します。

 日本の上場企業では、スター・マイカ(証券コード:2975)やインテリックス(証券コード:8940)などが、実需物件マイホームと投資物件の差益を稼いでいます。


 個人が引っ越しする場合、使わなくなったコンドミニアム(マンション)を他人に賃貸する人がいます。この行動(実需物件の賃貸)には経済合理性がありません。

 既に説明したように、ファミリー向けコンドミニアム(マンション)は、誰かに貸してしまうと価値が大幅に下がるからです。


 もし、新しいコンドミニアム(マンション)や戸建てに引っ越しする場合には、使わない物件は賃貸せずに売却することをお勧めします。



***


 ここでは実需物件と投資物件の違いを説明しました。

 もう少し詳しく知りたい人がいれば、この本を参考にしてみて下さい。


・図解 不動産ファイナンスのしくみ

https://www.amazon.co.jp/dp/4502330914/


 以上、ガブリエルでした。


<終わり>


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