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第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第9回活動報告:SDGs詐欺師を捕まえろ
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新たな被害者?(その2)

(4)新たな被害者? <続き>


 俺はロイを誘ってターニャとの待ち合わせ場所に行くことにした。スミスはターニャと仲が良くないし、他の男性メンバーを連れて行くのも微妙だ。こういう時はロイと一緒に行くのが無難だと俺は考えた。待ち合わせ場所は、ターニャが指定した高級フルーツパーラーだ。


 ここはアフタヌーンティーセットの値段が5,000JD。フルーツジュースが1杯2,000JDくらいだから、ターニャたちが何を注文しても俺は気にしないことにした。

 なんなら、『ターニャたちを夜にレストランに連れて行くよりも安上がりだ!』と俺は前向きに考えることにした。


JDジャービス・ドルはジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円と考えて下さい。


 俺とロイが店の中に入ると、奥の席でターニャが手を振っている。その隣にいるのはフォーレンダム証券のIFA3人娘。エマ、ミア、ソフィアがターニャと一緒に座っている。

 先に来ていた4人はアフタヌーンティーセットを頼んでいる。すでに20,000JDの出費が確定した。現金派の俺の財布の中に入っているのは3万JD。既にかなりヤバい状況だ。


 俺がコーヒー(800JD)を頼もうとしたら、隣のロイが「私もアフタヌーンティーセット頼んでいいですか?」と小声で聞いてきた。もちろん、俺は「いいよ」と答えた。

 俺がアフタヌーンティーセットを我慢すれば3万JDを超えない・・・


 スタッフが注文を聞きにきたから「アフタヌーンティーセット1つとコーヒーで」と言った。


 こういう時は、俺もアフタヌーンティーセットを注文すべきなのだろうか?


 男友達も女友達もいない俺には、その辺の空気感がさっぱり分からない。

 俺は気を取り直して、女性陣に話しかけた。


「いやー、こんなに美女にお会いできるなんて。幸せな日ですね」


 俺がお世辞を言ったら、バシバシと俺の腕を叩くおばちゃんたち。まあ、嬉しいのだろう。


「美女だなんて・・・」とソフィアは照れている。女子の振舞いだ。


「私たちが美女だったら部長の隣に座っているロイなんて、絶世の美女よ。絶世の美女!」


 そう言われたロイはまんざらでもなさそうだ。


 確かにロイは美人だ。

 美人なのだが、個人的には恋愛感情よりも変な親近感がある。例えるなら、家族や友人と接している感覚。俺の兄弟のチャールズ(第2王子)と並んで話しているような感じだ。

 俺はジャービス王国内ではかなり大きい方だが、ロイは俺とほぼ同じ身長。俺とチャールズは瘦せ型だから、俺とロイはほぼ同じ体系だ。

 ちなみに、ジェームス(第1王子)は身長も高いが横幅もあるから、ロイとは全然似ていない。アンドリュー(第3王子)も007に憧れて鍛えているから、こっちも似ていない。

 女性に対して失礼かもしれないが、体格が似ているから、ロイと話していると何となくチャールズと話しているような気がしてしまう。


 話が逸れてしまったが、俺は気を取り直して本題に入ることにした。


「それで、ミゲルから聞いたんだけど、最近出回っている太陽光発電施設のリース債権を担保にした小口社債の話を聞きたいんだ」と俺は切り出した。


「ええ、例の社債の件ね」

 そう言うと、エマが社債の発行要項(図表9-7)をテーブルに出した。


 エマが最初に出したのは、ノヴァーラとのリース契約(図表9-8)に基づくリース債権を担保とした社債の資料だった。


【図表9-7:社債の発行要項】


挿絵(By みてみん)



【図表9-8:リース契約の概要】


挿絵(By みてみん)



 エマはロベルティとピリアに対するリース債権担保社債の資料も見せてくれたが、基本的に金額が違うだけでその他の条件は同じだった。

 ちなみに、社債発行額はノヴァーラ向けが2億5,000万JD、ノベルティ向けが5億JD、ピリア向けが2億5,000万JDだから、社債の発行総額は10億JD。

 一方、リース料は3社合計で年間4億JDだ。


 社債の発行期間は3年間、金利3%だから、支払利息は3年間で9,000万JD(=1億JD×3%×3年)。社債元本と利息を合わせて3年間で10億9,000万JDの支払が必要になる。

 一方、リース料は3年間で12億JD(=4億JD×3年)入ってくるから、社債の元利金支払いは十分に可能だ。


 さらに、ジョーダンたちは4年目以降のリース料は全て自分たちの収益にできる。

 元手がゼロで、29億1,000万JD(リース料総額40億JD ― 社債元利金10億9,000万JD)入ってくるのだ。


―― 伝説の財務コンサルタント、さすがだなー


 俺はジョーダンのスキームを理解した。


<続く>

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