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第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第7回活動報告:通貨危機を回避しろ
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国内世論との戦い(その2)

(8)国内世論との戦い <続き>


JDジャービス・ドルはジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円としています。



 為替レートが1米ドル=190JDを超えた辺りから、俺たちは④保有している69.93億米ドルを売却し始めた。


 俺たちの米ドル売り、ジャービス・ドル買いは特に問題なく進んだ。

 投資家やヘッジファンドは、ジャービス・ドル売り、米ドル買いに動いている。だから、投資家やヘッジファンドの取引(米ドル買い、JD売り)にぶつければいい。

 こうして、俺たちの米ドル売り、ジャービス・ドル買いは順調に進んだ。


 結果として、俺たちの米ドル売りで為替レートは大きく動かず、俺たちの米ドル売りの平均売却単価は1米ドル=195JDだった。


 米ドルの購入と売却取引の結果、1兆JDで購入した69.93億米ドルは1兆3,636億JD(=69.93億米ドル×195JD/米ドル)で売却することができた。

 利益は3,636億JD(=1兆3,636億JD-1兆JD)だ。

 当初見込んでいた利益は約3,500億JDだから、目標は達成できたと言える。


―― まずまずの結果だ!


 俺の予想が当たったから、内部調査部はもちろん内務省も大喜びだった。


 次に、米ドルを売却したことによって、外為取引証拠金が不要になる。つまり、ホラント証券に担保として差し入れていた額面3,000億JDのジャービス国債を売却できる。


 そこで俺たちは、ホラント証券の提案した通り⑤額面3,000億JD の10年ジャービス国債を米銀に買戻し条件を付けて売却した。

 10年ジャービス国債の売却価格は3,568億JD(=3,000億JD×118.9%)、1米ドル=195JDの時に売却したから米ドル・ベースでは18.3億米ドルだ。

 ジャービス国債の売却によって確保した3,568億JDは、次に米ドルを空売りする時に備えて、ホラント証券の証券口座にプールしておくことにした。


 取引は順調に進んでいた。

 マスコミが騒ぎ出すまでは・・・


***


 俺は為替取引で稼いだ利益3,636億JDをi6から内務省に送金した。

 ジャービス王国の国家予算は約1,000億JDだ。米ドルの購入と売却取引で国家予算の3年以上を稼いだことになる。

 内務省のチャールズは、俺たちが稼いだ利益の一部を使って⑥ジャービス・ドル安で損失を受けた事業者(小売業や一部の製造業)に補助金を出した。

 ジャービス政府がジャービス・ドル安による損失を実質的に補填したから、事業者や国民からクレームは出なかった。

 補助金のバラマキ作戦は成功と言える。


 その次に、外務省がジャービス・ドル安を利用して⑦海外企業の誘致を行うために動いた。

 諸外国を外遊したり、ジャービス王国投資セミナーを開催したりして、海外企業や投資家を募った。その結果、興味を持った海外企業や投資家がジャービス王国に投資し始めた。


 海外投資家が最初に投資したのが不動産だ。

 米ドルを保有している投資家にとって、ジャービス・ドル安で価値が下がっているのに加えて、ジャービス・ドルの金利は低いから、銀行から融資を受ければ低金利で資金調達できる。

 海外投資家からすれば、ジャービス国内への不動産投資は非常に魅力的に映ったのだろう。


 そして、海外企業がジャービス国内に生産拠点などを作ることによって、新たなビジネスや国内雇用が生まれた。ジャービス国内の景気は一気に良くなって、国内企業や個人も不動産投資を始めた。銀行から低金利の借入ができるのも不動産投資を加速させた。


 一方、ジャービス・ドル安と低金利による好景気は、ジャービス王国に弊害をもたらした。

 ジャービス国内外の投資家や企業が、一斉にジャービス国内の不動産を買い漁る、いわゆる不動産バブルが起こったのだ。

 不動産価格の上昇に連動して、消費者物価も徐々に上昇している。


―― 不動産バブルきたー!


 不動産価格が急激に上昇すると、マイホームを購入したい国民が購入できない事態が発生する。

『マイホームが高くて買えない』ことをマスコミが面白おかしく取り上げたことから、国民から不動産価格を安定させる政策を望む声が聞かれるようになった。

 ジャービス国内の至る所でデモが開催されている。


 “マイホームをよこせー!”


 “マイホームを買えるようにしろー!”


 不動産バブルとインフレの対応策を検討するため、内務省のチャールズは緊急家族会議を招集した。


<続く>

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