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第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第7回活動報告:通貨危機を回避しろ
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世論調査(その2)

(5)世論調査 <続き>


※ここでは説明の都合上、ジャービス・ドル(JD)と比較する外国通貨は米ドルとし、為替レートは「1米ドルを何JDで交換できるか(例えば、130JD/米ドル)」という表示方法で説明します。



 俺は内部調査部のメンバーを集めて、国民と企業へのアンケート結果を説明した。

 アンケート結果は俺が想定した通りの結果だったが、この結果をもとに対応策を考えないといけない。


 内部調査部でのミーティングが始まると、ミゲルが挙手した。


「どうしたの?」と俺はミゲルに言った。


「部長。私の不勉強で申し訳ないのですが・・・今回のジャービス・ドル安は先進諸国が利上げしたのが主な理由、ということでいいんですか?」


「そうだね。1年前の米ドル金利は1%だったんだけど、今の米ドル金利は4%だ。一方、ジャービス・ドル金利は3%のまま。ジャービス・ドルよりも米ドルの方が金利は高いから、預金している人はジャービス・ドルを売って、米ドルを買う。つまり、売られたジャービス・ドルは安くなる(JD安)」


 俺はホワイトボードに図(図表7-1)を書いてミゲルに説明した。


【図表7-1:通貨安の理由(再掲)】

 

挿絵(By みてみん)



JDジャービス・ドルはジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円としています。



「ジャービス・ドルが安くなる。ということは、今まで1米ドル=100JDで買えたのが、1米ドル=150JDでないと買えなくなる。為替レートは上がるのですよね?」とミゲルは図を見ながら言った。


「そうだよ。為替レートは上がっているのに、通貨としては安くなっている。逆だから慣れるまで混乱するかもね」


「そうなんですよー。逆なので混乱します」ミゲルは言った。


「まあ、そこは慣れるしかないね。話を続けると、為替相場は基本的に人気投票と同じだ」


「人気投票ですか?」


「人気が高い(高い金利がもらえる)通貨の価値が上がり、人気が低い(低い金利しかもらえない)通貨の価値は下がる。そういうこと」


「金利の影響ですか・・・。ここ1年間で、実際には1米ドル=105JDから1米ドル=140JDになりました。為替レートは30%以上も上昇しています」


「そうだね」


「今回の場合、金利が高い通貨(米ドル)が買われ、金利が低い通貨ジャービス・ドルが売られたから、為替レートが上がるのは何となく理解できます。でも、なぜ為替レートの変動率は10~20%ではなく、40%だったんですか?」とミゲルは俺に質問した。


「おー、鋭いところを突いてくるなー。幾つか理由はあるんだけど・・・何が説明しやすいかな?」


 俺はそう言って、ミゲルが理解しやすい説明を考えた。


「ミゲルはフォワードレートを知ってる?」と俺は聞いた。


「フォワードレートですか?」


 ミゲルは知らなさそうだ。他のメンバーも知らないかもしれないから、俺は説明することにした。


「為替レートは2種類ある。スポットレートとフォワードレートだ」


「スポットレートとフォワードレート?」


「簡単に言うと、スポットレートは今(現時点)の為替レートだ。フォワードレートは将来時点の為替レートだね」


 俺はスポットレートとフォワードレートの比較表(図表7-5)をホワイトボードに書いた。




【図表7-5:スポットレートとフォワードレートの比較】

挿絵(By みてみん)


 ミゲルたちがホワイトボードを見ているから俺は説明を続ける。


「ちなみに、さっきの金利によって為替レートが変動する説明(図表7-1)は、スポットレートについての話だ。フォワードレートは、将来の為替レートだから、一定期間その通貨を保有する時間的価値を加味する必要がある」


「時間的価値ですか?」とミゲルは言った。


<続く>

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