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第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第2回活動報告:カルテルを潰せ
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キャッチーなネーミング(その2)

(1)キャッチーなネーミング <続き>


会議室に集められた俺たち兄弟は、国王と極力目を合わさないように座っている。誰も関わりたくないからだ。誰も発言しないので、しびれを切らして国王が発言した。


「我が国で内部調査を本格化していくにあたって、全国から相談を募集しようと思う。今日集まってもらったのは他でもない、国民が不正を告発しやすい、キャッチーなネーミングを考えてほしい」


どうやら、相談窓口を設けることは既定路線のようだ。そして、内部調査部は俺が部長だから、決定事項は俺に回ってくる。


「え?」俺達兄弟は顔を見合わせた。


これでも俺たちは忙しい。そんなくだらない会議に呼ばないでほしい、と思っているはずだ。さっきは『チバ』の活用方法を熱心に語っていたアンドリューでさえ、あまり乗り気ではない。当然、俺も乗り気ではない。


様子見をしていた他の3人をよそ眼に、第1王子のジェームスが投げやりに言った。


「『内部告発ホットライン』はどうでしょうか?」

よく言った。さすが長男だ。早くこの会議を終わらせよう。


「それでいいと思います」第2王子のチャールズも投げやりだ。

「私もそう思います」第3王子のアンドリューも同じく。

次は俺の発言の番だ。


「私もいいと思います。じゃあ、『内部告発ホットライン』に決定ということで、国王、よろしいでしょうか?」と俺は兄弟の空気を読んで会議を終わらせようと動いた。

すると、「ちょっと待て」と国王は言った。


俺たち兄弟が国王をみると、国王は続けて言った。

「他の案はないのか?」

どうやら、一択で決定するのが不満なようだ。


「それなら、ヘルプデスクはどうでしょう?」仕方ないので、俺が候補を出した。


「対象が広すぎないか?何のヘルプデスクか分からないから、却下。他には?」これは気に入らないようだ。


「じゃあ、王国相談窓口はどうですか?」と俺はもう一つ案を出した。


でも、俺ばかり案を出すのは不公平じゃないか。チバニアンのアンドリューにも案を出させないといけない。


「チバニアン!」と俺は小声でアンドリューに発言を促した。


「私からも一つ提案します。状況としては、国民がひどい目に遭っているから国王に助けてほしい、ということですよね」


「そうだ」国王は言った。


「じゃあ、『国王、困っています。散々な目に会いました。』の略で、『コックリサン』はどうでしょう?」


アンドリューは相変わらずのネーミングセンスだ。

国王はこれを無視して「他には?」と言った。


アンドリューは傷付いている・・・。

俺がフォローしないといけない。


「『越後屋連絡網』はどうでしょう?」


最近俺は時代劇にハマっている。時代劇で悪役と言えば「越後屋」だ。


「意味が逆じゃないか?越後屋は悪役だろ。悪役の連絡網は、今風に言えばマフィアのネットワークではないか?」


「そう言われれば逆ですね。じゃあ『アンチ越後屋ネットワーク』はどうでしょう?」


悪役を否定するネットワークだから、正義のネットワークだろう。


「余計にややこしくなったような気がするな。「Not悪役」だから、変換すると「Not Not 正義」。Notが二重否定されているから、正義のネットワークという意味だ。二重否定にすると、意味を理解するのに時間が掛からないか?」


「確かに」国王が言うことはもっともだ。

二重否定は分かりにくい。「必ずしも誤りとは言い切れない」など政治家が得意な表現だ。


「お前の中の正義とは何だ?」


「昨日見たのは水戸黄門です。『黄門ネットワーク』の方がいいですか?」


「下ネタはダメだ。却下!」と国王は言った。

理由は誰の目にも明らかだった。


その後30分の間に20個のネーミング案が出たものの却下が続き、内部告発ホットラインと王国相談窓口の一騎討ちとなった。


投票の結果、

「内部告発ホットラインで決定する」と国王が宣言した。

開始10秒で分かっていたことだった。これでも俺たちは忙しい。


こうして、ジャービス王国で内部告発ホットラインの運用が始まった。



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