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第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第5回活動報告:仮想通貨の詐欺集団を捕まえろ
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投資計画を説明しよう(その5)

(11)投資計画を説明しよう <続き>


「じゃあ、どうぞ・・・」ダニエルは残念そうに言った。


「国民や国内企業が納税資金を暗号資産で払えるようにすれば、預金が銀行から暗号資産の発行会社に移る。インセンティブとして、暗号資産で払うと少し税金が安くなるようにすれば、暗号資産を利用する国民や会社は増えるはずだ。逆に税金を還付する場合は暗号資産で還付すればいい」


「地域クーポンみたいだ」


「そうだな。一度、銀行預金から暗号資産の発行会社に資金が移動した後は、その暗号資産で公共サービスの決済ができるようにしておけば現預金が外部流出しない。さらに、発行会社から預金が流出しないように、スラッジ(※)を仕込んでおけばいいんだ。例えば、通常の取引はネットでできるのに、出金時には書類の郵送が必要にすればいい」


※スラッジ(sludge)とは、当人の利益が得にくくする摩擦や障害のこと。例えば、携帯電話の契約において、新規は簡単に手続きできるのに、解約は電話しないといけないなど手間が掛かるようにして、解約しにくくしているような状態をいう。


「嫌がらせだね」


「つまり、国民のお金を長期間、暗号資産の発行会社にプールできる。これって、国債を発行して国民のお金を集めるよりも使い勝手がいい。だって、金利を払わなくていいし、国の借金でもないからね」


チャールズは最後まで言い終えて満足そうだ。


一方のダニエルは「へー」と言いながら聞いているが、あまり興味はなさそうだ。

ダニエルは『相変わらずくだらないことを考えてるなー』としか思っていないのだろう。


ただ、チャールズの説明を聞いていて分かったことが一つある。

考え方がダニエルに非常に似ているのだ。

スラッジを仕込んで出金を妨害する方法など、ダニエルも同じことをやりそうだ。

兄弟だから発想が似ているのだろう。

もちろん悪い意味で・・・


「じゃあ、こちらで収益を稼ぐ手段を用意しなくてもいいんですよね?」

ダニエルは念のためにチャールズに確認した。

ジャービット・エクスチェンジが利益を出すために何かを探してくるのは、面倒だからだ。


「それは大丈夫だ。暗号資産の交換時のスプレッドから収益が発生するから、運転資金はそこから賄えると思う」とチャールズは言った。


「安心しました。あと、今の役員は、民事再生法の適用申請が認可されたら退任しようと考えているようです。内務省から、代わりの社長を派遣してもらうことはできますか?」


「うーん、どうしようかな。できるだけ政府の関与を表に出したくないんだよな。今回、スポンサーはダニエルが用意したi5だから、政府が表に出ない。社長も続投してもらえると、有り難いんだけどな。続投するように交渉できないかな?」


ダニエルが私に「どう思う?」と聞いてきたから、私がダニエルの代わりに答えた。


「高齢なので長期間の留任は難しいかも知れません。2~3年くらいの期間で交渉すれば、可能性はあると思います」と私は言った。


「そうか。その言い振りだと、交渉すれば2~3年は引き受けてくれそうだな。その間に社長を引き受けてくれる人を探せばいいか」


チャールズはポジティブに解釈したようだ。

経営陣が辞めると言って聞かない可能性はあるが、頼めば協力してくれるだろう。

多分・・・

私がそう考えていたら、ダニエルが話を進めている。


「じゃあ、今日の会議を踏まえて会社には提案します。それと、スポンサーとして支援表明するには、裁判所に資金証明(十分な資金を持っていることの証明。銀行残高証明書や預金通帳の写しを用いる。)を提出する必要があります」


「そうだな」


「もし、i5の預金残高がちょうど5億JDだと『運転資金の不足に対応できないんじゃないか?』と裁判所に思われるかも知れません。なので、一旦、i5の銀行口座に7億JDを送金して下さい。銀行で残高証明書を発行した後、2億JDは直ぐに内務省に返金します。スポンサーになれなかった時は、5億JDも戻しますが」


「分かった。明日にでも送金するように手配しとくよ。2億JDは直ぐに返せよ!」とチャールズは言った。


<続く>

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