表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第5回活動報告:仮想通貨の詐欺集団を捕まえろ
126/294

投資計画を説明しよう(その2)

(11)投資計画を説明しよう <続き>


私たちが話しながらしばらく歩くとチャールズの執務室に到着した。

執務室に入ると、当然ながら内部調査部の会議スペースよりも豪華な机と椅子が置いてある。


私たちは執務室の会議スペースに着席して、チャールズに用意してきた資料を渡した。

隣に座ったロイを見ると、チャールズから目を逸らしている。

ダニエルがあんなことを言うからだ。


チャールズには「暗号資産の会社の件で」と伝えていたので、買収対象の話であることは伝わっているはずだ。

会議が始まると、ダニエルが会社の概要を説明しはじめた。


「対象会社はこの前の家族会議で話題に上った、ジャービット・エクスチェンジとその親会社のジャービットという会社です。まず、暗号資産のジャービット・コインを親会社ジャービットが発行していて、ジャービット・エクスチェンジは暗号資産交換業者です。」


「前に聞いた時も思ったけど、ややこしい名前だな。ダジャレなの?」とチャールズが聞いてきた。


「面と向かって会社に聞けませんけど、ダジャレでしょうね。ジャービット・エクスチェンジの役職員は全員高齢です。ちなみに、内部調査部のおじさんには好評でしたよ。国王はこのネーミング好きなんじゃないかな?」とダニエルが言った。


「まあ、名前は後でいいか・・・。すまない。話を続けてくれ。」


「それで、今回の投資を検討したきっかけは、ジャービット・エクスチェンジが民事再生法の適用申請です」


「倒産したの?」


「倒産じゃないです。倒産手続には清算型と再建型の2種類があって、民事再生法は再建型の手続です。清算型のように残余財産を処分して会社を清算することは意図していません」


「それは知っているけどさ。民事再生法は裁判所が認可しないといけないよね?」


「そうです。XFTの破産があったため、裁判所は自力での再生には懐疑的です。ジャービット・エクスチェンジが自社再建しようとしても、裁判所は認可しないでしょう。裁判所からは、スポンサーを見つけるように言われているようです」


「まあ、このタイミングだからな」


「会社はFA(Financial Advisor:財務アドバイザー)を雇ってスポンサーを探したようです。でも、XFTの破産の影響でスポンサーを探すのに苦労していたようです」


「へー。やっぱりXFTの破産は暗号資産業界へのインパクトが大きかったのかな?」


「大きかったと思います。まず、ほぼ全ての暗号資産の価格が暴落しました。対象のジャービット・コインも7万JDから3万JDまで下落しています」


JDジャービス・ドルはジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円と考えて下さい。


「半額以下か・・・」


「さらに、暗号資産の投資家が一斉に売却に動いたため、暗号資産交換業者の資金繰りがタイトになっています」


「暗号資産は投資家間で売買しなかったっけ?」


「暗号資産取引は、上場株式のように投資家同士が取引所経由で売買するオークション方式ではなくて、投資家は暗号資産交換業者と売買するマーケットメイク方式です。暗号資産交換業者は投資家から売り注文があると、自己資金で暗号資産を買い取らないといけません」


「マーケットメイク方式か。そうすると、暗号資産の価格が下がるほど、投資家が狼狽売りに走って、暗号資産交換業者の資金繰りが悪化するのか・・・」


「そういうわけです。それで、事前に実施したデューデリの結果を踏まえて、スポンサーとして会社に提案する事項をまとめました。対象会社の具体的な財務情報やスキームについては、ルイーズから説明します」とダニエルが言った。


さて、ここからが私の出番だ。


<続く>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ