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第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第5回活動報告:仮想通貨の詐欺集団を捕まえろ
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連鎖倒産(その2)

(7) 連鎖倒産 <続き>


「ホームページに表示されている買い気配が1時間前から暴落していますね。ちなみに、これが本日のジャービット・コインの5分足あしの日中チャートです。」

そう言うと、スミスは俺に画面を見せた。


【図表5-4:ジャービット・コインの日中チャート(5分足)】


挿絵(By みてみん)



「あらまあ。1時間前は6万~7万JDだったのに、3万JDまで落ちているね。何かあったのかな?」

※本書では、ジャービス・ドル(JD)は1円としています。


「ちょっと値動きが異常ですね。急に投資家の売りが殺到したんでしょうか? 電話して聞いてみます」

そう言うと、スミスはジャービット・エクスチェンジに電話しはじめた。


俺はその間に、他のメンバーにも状況を聞いた。

どの暗号資産交換業者もなかなか厳しい状況のようだ。

こういう取り付け騒ぎは数日で収まるはずだ。

だから、1週間くらい資金繰りが持てば倒産は回避できるだろう。


大企業の子会社は問題ないと思う。

独立系の暗号資産交換業者は難しいかな?


俺は不安を感じながらも状況を見守ることにした。


しばらくすると、ジャービット・エクスチェンジに電話をしていたスミスが戻ってきた。


「やはり、急にジャービット・コインの保有者が、買取りを求めてきたようです」とスミスは言った。


「やっぱり・・・」


「しばらくは買い気配を引き下げながら、ジャービット・コインを買取っていたようです。それでも売りが収まらなかったため、一旦取引を停止したようです」


「そんなに大量に売りがきたのかな? 資金繰りは大丈夫そうだった?」


「社長のホセが言うには、今のところ問題なさそうです。ジャービット・エクスチェンジの決済資金はまだ余裕がありそうでした。ただ、『ジャービット・コインの時価が下がり過ぎると顧客に迷惑が掛かるから、なるべく下げずに買取りを続けたい』と言っていました」


「顧客に迷惑かけたくないのは分かるけどさ・・・。ジャービット・コインを高く買ってたらジャービット・エクスチェンジの資金が持たないよね?」と俺はスミスに言った。


「そう思います。投資家はジャービット・コインの価格が下がって損するでしょうが」


「だよね」


「ジャービット・エクスチェンジがジャービット・コインを高値で買い支えるだけの資金力があるとは思えません。ジャービット・エクスチェンジが買取りに使える資金は、ジャービット・コインの発行額が上限でしょうから」


「そうだよね。ところで、誰が売ってきているか聞けた?」


「ある投資サロンに参加している人たちが、一斉に売ってきたようです。電話対応した会社の担当者が言うには、その売却した投資家たちは『Xデーが迫っているから』と言っていたらしいです」


「『Xデー』って意味深な言葉だなー。良くないことが起きることが前提だ。その投資サロンの情報は聞けたの?」


「ホセはその投資サロンを知っていました。エミリーが運営している投資サロンだと言っていました」


「エミリーって、フォーレンダム証券のエミリーかな?」


「そうじゃないですかね・・・」とスミスは言った。


― アイツか・・・


俺はエミリーと面談した時のことを思い起こした。


<続く>

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