表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第4王子は中途半端だから探偵することにした  作者: kkkkk
第1回活動報告:横領犯を捕まえろ
11/294

告発者は誰だ?

(7)告発者


 今回の事件に絡んだ5人を警察官が連れて行ったので、俺は自宅に帰ることにした。ルイーズはさっさと帰った。


 俺の住居は1DKのマンション。住宅とオフィスが混在しているようなエリアに住んでいる。王族は宮殿に住んでいるのをイメージするかもしれないが、ジャービス王国には宮殿はない。国王も王子も、ごく普通の家に住んでいる。


 俺は学生時代に一人暮らしを始め、それから引っ越ししていない。東京で言うと高田馬場のようなエリアだ。最寄り駅から自宅までの間に飲食店街があるので、大体そこで夕食を食べて帰宅する。その日も一人で居酒屋チェーンに行き、つまみを食べながら酒を飲む。

 事件の事を思い出していると、遠くで店員の声が聞こえる。


「よろこんで〜!」


 周りは楽しそうだ。

 俺には友達がほとんどいないから、毎日賑やかな場所に行って、一人飲み会ごっこをしている。


 犬でも飼おうかな?


 ****


 翌日、被害額をルイーズが集計したところ、およそ5,000万JDだった。被害額は小さくないものの、返せない金額ではない。全員が初犯ということもあり、裁判で執行猶予付の判決となった。


 裁判所は王国の損失額を補填させるために、5,000万JDを犯人5人の連帯債務とした。

 ロイ1人で5,000万JDを返すよりも、早く被害額を回収できるだろう。最終的には他の4人が支払った代位弁済額について、ロイが4人に返済していくことになる。


 後味はよくないものの、犯罪は犯罪だ。探偵としての第1号案件は終わったことになる。


 ちなみに、告発文を送ってきた人物は後日判明した。告発者はターニャだった。


 犯人5人はターニャに計画のことを話さなかったようだ。きっと、ターニャは誰かに話してしまうからだ。

 ターニャは自分に内緒でコソコソ動いている5人が気に入らなかったのかもしれない。

 あるいは、変な正義感だろうか?


 休憩室でターニャが話しかけてきたのも、きっと俺が内部調査にやってきたのを知っていたのだろう。そして、スミスが怪しいと思わせたのもターニャだ。


 結局、俺はお喋りおばさんに誘導されて、事件を解決しただけなのか?


 ********


 ちなみに、俺とルイーズはこの裁判を、一番前の席で傍聴していた。裁判中にルイーズが、「内部調査部の業務も増えてきたから、増員した方が良くない?」と聞いてきたので、「確かにそうだね。予算も付きそうだし」と俺は答えた。


「増員の募集するのも面倒だし、この5人でよくない?」とルイーズが言った。


 その瞬間、俺はすぐ前の被告人席に座っていたミゲルと目が合った。

 すると、ミゲルは俺に何か言った。


 なんて言ったのだろう?俺はミゲルが言ったことを聞き取れなかった。

 裁判中だが俺はミゲルに「何て言ったの?」と聞いた。


「よろこんで!」とミゲルがもう一度言った。

 今度は、はっきりと聞こえた。


 ルイーズは「内部調査部で働いてくれるって。ダニエル、良かったね」と言った。


 ミゲルに渡したルイーズの復活の呪文は、こう書いてあったようだ。


 ------------------------------

『よろこんで!』

 ------------------------------



 復活の呪文は、俺がいつも帰りに寄る居酒屋の掛け声のようだった。

 5人はセーブポイントに戻ったわけではないが、復活の呪文も少しは役に立ったのだろう。


 こうして俺は、第13穀物倉庫の5人を内部調査部で雇うことになった。

 内部調査部のメンバーを新規募集するつもりだったし、不正の手口に詳しいメンバーは必要だ。


ここまで読んでもらってありがとうございます。

もしよければ、評価をお願いします。

純粋に知りたいので、⭐︎1でも⭐︎2でも全然大丈夫です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ