両親の過去
「その大臣というのは……」
「宰相のゲドルグ公爵です」
「あぁ〜……、そういう事か」
お父様は何かピンときたみたいです。
「お父様、心当たりでもあるんですか?」
「もう20年前の話になるんだが、ゲドルグ公爵は母さんの元恋人なんだよ」
「えぇっ!?」
「母さんはとある公爵家の令嬢でね、我々の間では高嶺の花だったよ、だがゲドルグ公爵は母さんの良さを理解していなかった。卒業記念パーティーの場で一方的に婚約破棄をしたんだよ」
そんな小説みたいな事を本当にやる人がいたんだ。
「しかも母さんを一方的に悪者に仕立て上げた。その結果、母さんは実家を勘当され全てを失った、で流れ着いてここにやってきて私と出会って結婚したんだ」
「その件は既に冤罪である事がわかっていますが未だに正式に謝罪がされていないのが現状なんです」
「冤罪なのに謝罪が無い、ってどういう事ですかっ!?」
「国王も絡んでいるからだよ、国王と公爵は悪縁で繋がっているからこちらが抗議してももみ消しするんだよ。しかも私と結婚した事がわかってからは矛先が向かうようになってね……」
会った事は無いけどかなり性格が悪い、そんな奴が宰相だなんてこの国の将来がかなり不安だ。
「僕も当時の事を調べて呆れました。でも実際の話、何も出来ないのが現状です。父上は弟を王太子に立太子させるつもりで僕を追い出すつもりです。ですからこっちから出ていってやったんです」
え?出ていった、という事は……。
「フレイ様、もしかして家出したんですか?」
「いや、一方的に絶縁を叩きつけてあげました」
そう言ってニッコリ笑った。